疫病神と幸運の金時計

プーが何処からか貰ってきた金の腕時計。

有名なお寺でお祓いを済ませた厄祓い、幸運を呼ぶ時計だ。無論、純金製ではないが、偉い坊様が祈祷した、それはそれは貴重な時計なのだそうだ。

この時計をプーは、

「これは滅多に手に入らない大切な幸運の時計だから、ここに置いておくね。事業が成功して、いい女が見つかるように。」

そう言って、僕のオフィスの戸棚の中にしまった。プーは、高級なブランド品を使っているので不要との事だったが、女物の腕時計だから僕は使わないし、僕にくれたのか、ただお守り的に置いてくれただけなのかも理解できないまま、数ヶ月間そのままになっていた。

その後、僕は度重なる不運に見舞われ、その不運を巻き起こす原因はマシュマロちゃんかも知れないと思うようになった。

実際、彼女の身辺には、気の毒になりそうな不運や、気違いとしか思えないような男に付き纏われ、彼女の人生は滅茶苦茶に壊されてしまった。

そういえば、彼女と会ってからトムとのこともおかしくなってしまった。僕の友人は、彼女は疫病神で、疫病神の近くにいるから僕の周りにも不運が降り掛かってくるんだと言う。僕はもともとそういうことを信じるタイプの人間ではないが、その時は流石に不安に感じ、お払いに行ったり、占星術に占って貰ったりした。

一ヶ月ほど前、マシュマロちゃんが故郷に帰らざるを得なった最後の夜に、僕はこの金の時計を彼女に授けた。ここにただ置いてあっても仕方がないし、不運の根源の疫病神に授けて、悪霊が逃げてくれれば有り難いという気持ちだった。

多分このことをプーはモンから聞いたのだろう。僕のオフィスに来た時に、時計が置いてあった棚を探して、

「あの金の時計は何処にあるの?」と僕に尋ねた。

「ああ、あれは上の寝室に置いてある。」と僕は嘘をついた。

「それならいいけど、まさかトムにあげちゃったんじゃないでしょうね?あれは4万バーツはする貴重なものなんだから、変な女にあげちゃダメよ。」

「あんな女にあげる訳無いだろう。」僕はそう答えた。

IMG 1560

マシュマロちゃんは、「こんな大切なものは貰えない」と言ったが、自分の不運も並大抵のものでなかったし、自分の不運が僕にまで影響してはいけないということで、有り難く使うことに決めた。

防水仕様でないこの時計は、彼女の野良仕事や家事炊事の時は使えないが、夜眠る時はこれを両手に持って額に付け、お祈りをしてから、枕元に置いて眠った。

「こうして寝ると安心できるの。私はこれがきっと幸運をもたらしてくれると信じているわ。」

そう言って、この写真を天空の村から送ってきた。

お坊様のお祈りが彼女のもとで効いてくれることを心から願うばかりだ。

 

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Topic : タイ・バンコク
Genre : ForeignCountries

Comments

タイの低級霊

宜保愛子の時代にオカルトや超常現象を信じ始めましたが、その後の霊能者達の馬鹿丸出し加減に、すっかり幻滅を感じ軽蔑すらしていました。

その後チェンライで暮らすようになり、何事もなく月日が過ぎましたが、子供が8歳になった時、突然おかしな現象が起こりました。
娘が毎日夜中に、訳のわからない奇声を叫ぶようになったのです。
奇声というよりは、老婆が何やら呪文を唱えているのが、私にも聞き取れました。
嫁はピーに取りつかれたから、モーピーの所でお祓いをしないと駄目だという話でした。

自分は霊とかピーを全く受け付けない性格でしたから、何か所か病院を回りましたが娘の症状は悪化するばかりで夜も眠れず、ついに二週間ほどでギブアップ、翌日モーピーのところに行きました。
モーピーの家は町外れの普通の一軒家、中も変わり映えしない、やや大きめの神棚?があるだけの粗末な家でした。
私は、何やらまじないをするモーピーを軽蔑の眼差しで見つめながら、「これで娘が治ったら、裸でチェンライの街を走ってやる」と考えていました。

そして、いつもの恐怖の晩が来たのですが、何とそれ以降、娘がうなされることは、ただの一度も無くなったのです。
この現象のつじつまをどう合わせるか悩みましたが、やはり原始的風習が数多く残るタイには、色々な霊(ピー)が数多く存在、現生の人々に多大な影響を与えているのは事実だと感じました。

この一件で、厄病神のタイの低級霊(ピー)には十分注意が必要なんだと、考えを、改めざるを得ませんでした。

タイは鬼門

験を担ぐところが、タイらしいですね。ハムケンさんも弱気の虫が出た?

お寺でもらうお守りは一大産業ですよ。

ハムケンさんにとっては、タイ自体がとんだ疫病神だったのかも。

事態がどんなに悪くても、論理的に行動していれば、いつか改善の兆しが見えてくるでしょう。
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ハムケン

Author:ハムケン
サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった50代親父。

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