ウイスキーをくれる訳
カオヤイいちご園の土地のオーナーは、月に2回くらい僕らをディナーに誘ってくれる。
有り難いけど、ちょっと鬱陶しい。
行ってみると、大抵は僕等以外にも人が居て、皆華僑ながら、カナダ在住だったり、台湾在住だったり、カンボジア在住だったりと、妙に国際的だ。皆、遠い親戚関係みたい。
どうやら、週に半分くらいの日は、オーナーはこうして誰かとディナーを楽しんでいるようだ。
そして、全部オーナーのおごり。
毎晩のようにそんなことをして、何が楽しいのかどうか分からないが、そういうことでお金を使うことは苦ではないらしい。或いは、お金が余り過ぎていて、使って減らしたいのだろうか?
このあたりの気持ちは、貧乏人の僕やマシュマロちゃんには分からない。
時々、ワーカーや親族も連れて行く。普段は滅多に食えない美味しい料理がタダで食べれるので、さぞかしハッピーかと思えば、気を使うせいか、皆「もう二度と行きたくない。」と言う。
僕は、人の和が広がるのと、何時も高いウイスキーを貰えるので、少々鬱陶しくても毎回行っている。そして、毎回酔っ払って帰って来る。
今回貰ったのはコレ。
「今日はあんまり良いウイスキーがないが、これで良ければ持って行ってくれ。」とオーナーに言われた。勿論、僕はこれで十分。
何時も高級ウイスキーをくれるので、聞いてみた。
「なんで何時もくれる訳? なんです何時も高級ウイスキーがある訳?」
多分、この質問は3回目だと思うが、前回始めて理解出来た。
オーナーの回答は、
「俺の弟が警察官なんだよ。彼が押収した酒を持って来てくれるんだ。」
警察官と言っても、多分貿易関係で、違法輸入や関税抜け等で押収するウイスキーが山程あるらしく、それを横流しして貰っているらしい。
つまりは、オーナーにとってはタダの品。
しかも、一人では呑み切れる量じゃない。
だから、僕にくれる。
僕は貰ってハッピー。
ウイスキーが本物かどうかは定かではないが、十分美味しく頂いている。