幼妻:娘なのにお母さん
住込み若夫婦が一時的に帰りたいと言うので、その理由を聞いたら笑った。
20歳で二人の子持ちの幼妻の説明では、「お父さんが結婚するので、結婚式に出たいから。」
16歳と18歳で出産した幼妻の人生も驚きだが、お父さんが結婚すると言うのはどういう事か?
聴いてみると、お父さんは当然始めての結婚ではなく、幼妻が産まれて直ぐに事実上離婚して、その後長いこと一人者だったが、離婚して10年以上過ぎた今、新たに女が出来て結婚することになったということらしい。
お父さんの年齢は聞いてないが、幼妻が20歳だから、35歳か40歳なんだろう。
丁度、第2期の定植も終わり、ホッとしたところだったので、一時帰郷は可能だったが、帰るともう戻って来なくなる恐れがあった。
必ず戻って来るように、給料は戻って来たら払うという方針を告げたが、
「それだと文無しで帰るのは無理だし、お父さんにお祝いも出来ないから、半分だけ払って欲しい。ちゃんと戻って来たら、残りの半分を払ってくれれば良い。戻らなかったら残りは払わなくて良い。」
とか言いよる。
どうも彼らは本気で戻って来るつもりらしいが、結婚式で数日飲み過ごしたら気が変わるかも知れない。
あるいは、彼らの親が淋しがって、
「あんな遠い所に行かなくても、家で一緒に過ごせば良い。寂しいから行かないで!」
とか言われて気が変わるかも知れない。(過去のパターンはこれが多い。)
あるいは、家で子守を任されているお母さん(子供から見たらお婆ちゃん)が、子守に疲れて、子守を拒否するかも知れない。
若旦那が言うには、
「もう一つ帰ってやらなくちゃいけない事がある。それは、自動車運転免許証を取ること。」
「えっ!?どういうこと? 車の運転が出来るかどうか聞いた時、あんたは出来ると言ったし、実際自分の車を運転してここに来たんでしょう?」
若旦那は、
「そうだよ。車の運転は問題ない。ただ、免許証を取ってないだけだよ。」
とのこと。
うーん、なるほど。一般常識の違いだぜ。
7年住んでも未だに理解し難い常識の差。
😲 🥺 😵
その後の話を端折って言うと、彼らに給料半分だけ払って帰した。
そして、昨日夜、彼らは約束通り戻って来た。
但し、ガキンチョを一匹連れて来た。
帰える前に、僕は未来を予測して、こんな話をしていた。
「前にも言ったように、子供は連れて来ないで。寂しいからとか可愛そうだからという理由で連れて来たは駄目だ。ただ、どうしても連れて来なけりゃいけない事情があった場合は、話し合いに応じる。事前に言っておくが、子連れで今まで通りの給料は払えない。何故なら、絶対に今までの様には働けないから。今までは日給400バーツだったが、もし子供を連れて来たら、300バーツかそれ以下になるからな。それから、男の子は親が使った道具とか農薬とかに興味津々で、直ぐにそれで遊ぶし、お客さんの車も多いので、とても危ない。事故や怪我しても僕は責任取れないよ。子供が泣いても、お客さん優先だからな。」
ちょっと厳しいが、納得してもらわないといけない。
中でも、お金のタメに来ている彼らにとって一番厳しいのは、給料が減ることだと思う。
それでも、結果的に彼らは2歳のガキンチョを連れて来た。
「お母さんが、もう4人の子守は無理だから連れてって、と言うので仕方なく連れて来た。給料は減っても構わない。」
ハムケン探偵の予測が的中した。
幼妻は、子供をおんぶして働いた。
泣いたらあやしたが、仕事の手は余り休めなかった。
若干二十歳で子供の様に思っていたが、その子供を労る姿は、母親そのものだった。
子供は2歳の割にモン語を理解し、一人でお母さんを泣かずに待っていられる。
胃のない胎児だったTJとはえらい違い。
なんだか、彼らが頼もしく感じた。
- Related Entries