胃のない胎児3
産まれた子には、ちゃんと胃があった。
食道と胃が繋がっていなかっただけ。
だから、お母さんの初乳が飲める(胃に刺したチューブからだが)。こういう子は心臓にも奇形があることが多いが、残念なことに、やっぱり問題があった。
普通は2つある血管が3つあるとのこと。
詳しくは分からないが、おそらく動脈管開存症のことと思う。胎児のとき、潰れた肺には血液が多量に回らないので、バイパスとして存在する血管があるが、産まれて肺呼吸が始まると普通は直ぐに閉じて消える血管が閉じずに残ってしまった状態で、大動脈から肺動脈に血液が流れ込んでしまうため、肺や心臓に負担がかかる。
産まれた子は、そのせいか呼吸がとても早く、胸が大きく上下するので、一見して呼吸が楽に出来ていないように見える。
腎臓も悪いらしい。
子供は起きると手でチューブを抜いてしまうので、起きると直ぐに睡眠薬を入れられて眠らされるらしい。そんなんで良いのだろうか?
母親は退院したが、子供が愛おしくて毎晩泣いていたので、病院の小さなベッドで寝泊まりさせて貰えることになった。子供は新生児室で保育器の中なので、病院に泊まったからといって、いつも会える訳ではない。
予定では、新年5日から仕事再開と言っているが、まだチューブが何本も刺さったままの子供は当面退院できそうになく、仕事が再開出来るかどうかは未だ分からない。
飲んだ乳が肺に逆流して肺炎にならなければ良いが。
万一、悲しい結果になっても、母親は未だ22歳。これから未だ幾らでもチャンスはある。