インプラント
金曜日に仕事をサボってコラートに行ったのは、マシュマロちゃんを歯医者に連れて行きたかったからでもある。
彼女は10年以上前、バイクの事故で前歯を上下三本折っている。その後、所謂入れ歯をしていたが、もう10年も交換していなくて、一部が黒ずんでいた。
その入れ歯を見せるのが何よりも恥ずかしいようで、僕にも見せてくれない。大きな口を開けて笑えないのも、その為だ。
古い入れ歯を使い続けたのは、ズバリお金がなかったからだ。
そこで僕は、お金が出来たら彼女にインプラント治療をさせてあげたいとずっと思っていた。去年は、日本のインプラント専門病院で安く治療を受けさせようと企んだが、結局スケジュールが合わずに見送ってしまった。
僕は10年以上前、そのインプラント専門病院で、1本15万円でやって貰ったことがある。普通の歯医者だと、40万も取るところがあるが、材料費から考えて15万くらいでできるはずだ。知り合いの歯医者の話では、高価な機械の返済がきつく、40万くらい取らないと儲からないと言っていた。
今年は、お陰様で彼女のインプラント代位は出せる余裕が出来たし、その後の調査で、タイのバンコク以外の都市なら、日本よりも安くインプラントができることが分かったので、いちごシーズンが終わったら、コラートでインプラントを受けさせようと決めていた。
因みに、バンコクでは一本7~8万バーツ位が底値。コラートのローカル歯医者だと、4.5~5万バーツで出来る。
それなら3本やっても15万バーツだからなんとかなる。
最近入った東京海上の生命医療保険屋に、安いけれどもヘリカル3Dレントゲンとコンピューター制御のドリルがある歯医者を紹介して貰い、そこに行ったのだった。
歯医者はほんとに小さくて狭く、話が違ってヘリカル3Dレントゲンとコンピューター制御のドリルもなかったが、インプラントは普段から頻繁に施術していて、料金も5万バーツ以下とのことだった。
しかし、透視レントゲン写真と触診の結果、彼女の歯茎の下の骨は縮退して非常に薄く、インプラントは無理だと言われた。上顎に関しては、骨形成術が上手く行けば5割くらいの確率でインプラントが出来るが、下顎は到底無理だと言う。
こういう診断が出るのは半ば予想していたが、日本では骨形成の方法がいろいろあり、大抵なんとかなると思っていたので、なかなか納得出来ず、もう一軒別の(もうチョット立派そうな)歯医者にセカンドオピニオンを貰いに行くことに決めた。それに透視レントゲンでは骨の厚さが客観的に測れず、医師の触感が頼りだったので、僕としては納得しかねた。
インプラントでなければ噛めないし、まだ60年は使う大切な歯であるから、なんとしてもインプラントにしてあげたいという思いが強い。
しかし、入れ歯にして10年以上経っている上に、彼女の顎は元々小さく、「無理なものは無理」という結果に終わるかも知れない。上顎の一本だけでもなんとかなればと願うところだ。