ホープレス

先日、いろんなことが進展した日、クボタ(耕運機のこと)と日雇い労働者を探しにドライブに出た。

いつものセブンイレブン(家から直ぐのところにセブンイレブンが出来たのだった。わっはっは。)を少し過ぎた所で、まだ入ったことがない路地を曲がってみた。

ソイに入ると、がらっと雰囲気が変わり、貧しそうな部落になった。日雇い労働者の供給源である。

マシュマロちゃんが初めに訪ねたおばちゃんが、ブラブラしていた若い兄ちゃんに声をかけてくれた。

「テーサバーンのいちご園で日雇い労働者探してるんだってさ。誰か働きたい人いないかねえ?」

若い兄ちゃんは、

「居るんじゃねえ? ちょっと声掛けて見るよ。」

おばちゃんが言うには、最近仕事が無くて困っている人が多いはずだと言う。

日雇い労働者を探し初めて5分も経ってなかったので、さして期待はしていなかったが、夕方電話で、

「明日、12人集められるけど、どうする?」と問い合わせが入って驚いた。

いきなり翌日から12人とは驚いた。

ちょっと多過ぎるが、やることはある。ここは一つOKするしかない。

その夜は長く大雨が降った。夜明け前には上がったが、仕事に出掛ける時間帯にまた少し降り出した。

昨夜の雨で、土がネバネバになったのは、日雇い労働者なら容易に分かる。おまけに、出勤時間に雨。僕は6名来れば上等と思った。

しかし、予定の時間よりも5分も早い時間に迎えに行って見ると、既に12人が待っていた。

翌日は11名。翌々日は14名。その翌日は母の日の前日だったので9名(途中で3人首にしたので残ったのは6名)。

僕から見て、彼らには働く意欲があった。初めは、気持ち良く一生懸命働いてくれたと思う。

日雇い労働者のお陰で、カオヤイ農園の畝の補修と排水路の整備、ココナッツポットの用意が一気に進んだ。

しかし、体力と根性がなかった(日給350バーツで根性出す人は居ないだろうけど)。

しかも、このところ雨季なのにずっと炎天下。立っているだけでフラフラになる。

毎日、氷10キロ、水20リットルでも足りない。雇い人は労働者に優しくなければならず、エムローイ(M-150)というリポビタンDみたいな飲み物とコーラも進呈する。

しかし悲しいかな、午後3時を過ぎると、日雇い労働者は次々にへたばっていった。

へたばらなくて最後まで良く働いたのは、マシュマロちゃんと住込み労働者だけ。(僕は初めからへたばった。)

日雇い労働者が座り込んで働かないのを見て、マシュマロちゃんはすこぶる不機嫌だったが、僕は致し方ないと思った。無論、もっとしっかり働いてくれないと困る訳だが、慣れるまでは無理なものは無理。

ポイントは、頑張って働こうとしているか、なりたけ楽してサボろうとしているかだ。僕は彼らの何人かが頑張ろうとしているを感じた。

3日目で使えない人と使える人の区別がはっきりしてきた。

ざっくり6割の人は使えない。

それでも、少なくとも去年の日雇い労働者よりもずっとマシだ。酒臭い息で来て、頭痛で働けなかったり、10分おきにタバコを吸う奴も居ない。

以上は、使用者側の感想。

日雇い労働者に言わせたら、

「そもそも一日300バーツなんて安すぎる。人の弱みにつけ込んで、人を馬鹿にしている。搾取するのも程がある。350バーツはちょっと嬉しいが、それ程変わらない。

その程度の賃金で一生懸命やるなんて期待する方がおかしい。

こんなクソ暑い中で、何時間も野良仕事するのがどんなに苦しいか知ってるのか? これ以上は無理。病気になっちゃうよ。こんなに辛いのに最低賃金しか貰えないなら、家でゴロゴロしていた方がマシなくらいだ。仕事があるのは有り難いので、一応やれるだけはやるが、ガミガミ言うならやってられないから何時でも辞めてやる。」

てなところか。

全ての人にかなりの程度平等に機会が与えられている日本人は思う。

「お金が欲しいなら、成功したいなら、一生懸命勉強して、一生懸命働いて、人の上を目指せ。努力すれば報われる。」

日雇い労働者は思う。

「産まれてこのかた事実上まともな教育なんて受けられる機会はなかった。当然大学なんて行けるお金はなかった。高校すら行ってないんだから。だがら、ちゃんとした会社の社員になる切符すらない。やれることといったら肉体労働だけ。それで一生懸命働いても1日300バーツ程度。こんな生活繰り返しても、お金は一銭も貯まらない。子供には大学行かせたかったが無理だった。欲しいものはあるけど所詮買えないので、考えないことにしている。苦労しても何も向上しないなら、苦労なんてしたくない。家で酒とタバコを呑んで、サバイサバイとゴロゴロしてた方がマシだ。」

彼らには、貧しいながら、家も、愛する家族も、食べ物もある。

ないのは「希望」だ。

「ホープレス」なんだ。

だから妊婦もタバコをスパスパ。日給貰ったら酒買って飲んだくれる。

希望が持てないから、努力の動機がない。

希望がないから、ズルもするし、いい加減な仕事ぶりになる。

ここんところの背景を考慮せずに、人間性の問題だけに焦点当てるのはズレている。

希望が持てない日本の若者たちは、彼等よりとてもラッキーだと知った方がいい。

僕は彼らから搾取する側だから、とてもラッキーだと思う。逆の立場だったら、日給3000バーツでも無理。

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Comments

Re: 感想です

ブログ購読ありがとうございます。
カイさんは第二の人生を何処で過ごしていますか?
人生、何が成功か分かりませんが、僕のいちごビジネスではお金持ちにはなれませんね。
ただ第二の人生ではお金持ちになることを目標にしなくても良いように思います。

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サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった親父。
タイに来て早10年。挑戦と冒険の心を忘れずに、異国でセカンドライフを謳歌している60代のオヤジです。

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