社長さんの納豆
和僑会で知り合った小松電機社長の小松さん。
年商15億円とかで、半分隠居で自由気まま。
彼はバンコクの納豆が古くて不味いのを嘆いて、それなら自分で作ってしまおう! と企業内起業した。
日本の新鮮な納豆をタイに! と言うことで、電機とはまるで関係ない納豆の製造を始めた。
最初は色々な壁にぶち当たったらしいが、今では日本人が行くスーパーなら何処でも売られている。
その名も、「社長さんの納豆」。冷凍していません! 新鮮です。
在タイ日本人なら知っていることだろう。
ところで、納豆菌が元気な新鮮な納豆を食べると、日本人は腸の調子が良くなる。
慢性の下痢が止まるとか、逆に便秘が治るなどなど。
実際に納豆を食べると、納豆菌は大腸で増えて、便の中に大量に出てくる。
もう四半世紀前の話なので時効が成立しているだろうから白状すると、当時僕はカルバペネム系の強力な抗生物質を開発していて、その第一相臨床試験の被験者に自らなったことがる。当時は社員でも第一相臨床試験の被験者になれたのだ。
それで詳しいことは割愛するが、ウンチの中の菌を全部調べる訳。だから納豆やチーズやヨーグルト等の発酵食品は禁忌だった。
しかし不良少年Aは掟を破って納豆を食し、納豆菌が大量に出たのでバレバレで注意されたが、食べてないよとしらばっくれた。
2回目のトライの際はバレることが分かったので、大人しく納豆を避けたが、今度は有毒のClostridium difficileという悪玉菌が出てしまった。
ともかく、栄養源として以外に、健康の為に納豆を食べると悪玉菌を抑えて腸の調子が良くなるのである。
話を戻すと、僕と同じ頃に起業して、フェイスマスクを輸入販売していて、トップマートにも卸していたのに、そろそろ損益分岐点を超える辺りで会社を売却して辞めてしまった方が居る。
その方が、現在は小松さんの所で営業を担当して働いている(納豆の営業ではありません)。
僕とはバンコク時代に何度も飲んで、タイ人の愚痴を言い合ったものだった。
その方が、カオヤイ農園に来てくれることになった。
僕は社長さんの納豆を売ってみたいと思ったので、彼に頼んで3つ入パックを36個持って来て貰った。
いちごジュースの横に納豆を置いて反応を見た。日本在住経験のあるタイ人が喜んで一パック買って行ったが、それっきり全く売れなかった。
特に宣伝もせず、試食もせずで、置いてあるだけだったので、売れるはずもないが、賞味期限の1ヶ月が過ぎて、水も入り汚くなったので、回収して僕の借家の冷蔵庫の中に収めた。
そういう訳で、家で夕食を食べるときは、何時もこの納豆を食べている。水が入ってネバネバが凄くなった納豆でも、腐っている訳ではない(と言うか、元々腐っている)。なので十分美味しく食べられる。
時には、納豆に醤油を掛けて納豆ご飯だけの時もある。ご飯は、タイの高級米ホーンマリでないと駄目。
これが懐かしくて美味い。
食べるとウンチが臭くない。すこぶる快便。
社長さんの納豆は値段も安く人気があるが、儲かっているのかどうかは不明。社長さん曰く、「儲けが目的じゃないからこれで良い。」
なんでも再度製造施設を増設するそうだ。
残念ながら、いちご園で売ることは難しそうだが、僕の腹にも納豆菌が良いと確認出来たので良しとした。