天空の村にて
チェンマイからいちごの産地サムーンを通り越しさらに山を登ったところにビューポイントがある。
そこから天空の村の方向を見た。
左上に4つの頂が繋がる稜線が見えるが、その辺りがマシュマロちゃんが生まれ育った天空の村の辺りある。標高は1320メートルくらい。
いちご畑はなだらかな山の斜面に広がっていた。
この日はこの畑から、第二波用のいちご苗を30,000株収穫する。
家族や親戚以外に、10名ほど日雇い労働者を依頼した。だから、総勢20名程の作業。
モン語は理解できないが、毎日聞いているので、日雇い労働者の言葉がモン語ではないのはすぐ分かった。
働いた分だけ給料を払うので、その作業量を確認しているところ。
彼らの民族は、ガリアン。日本ではカレン族と言われる。
少数民族の中では一番多い。カレン語はモン語と全く異なり、お互い何を話しているのか全く分からないらしい。当然、文化も異なるが、山の上ではあまり揉め事もなく暮らしているようだった。
彼らにとって、こうしたバイトは貴重な現金収入源。収穫したいちご苗の数によって給料が変わるようになっていて、そのためか子供まで動員して一生懸命働いてくれる。
いちご畑の上の斜面。
結構険しい急な斜面だった。農作業をしていたら、急にウンコがしたくなった。もちろんトイレなんか無い。仕方なくこの斜面を登って、草陰で野糞となった。
ゴム手袋をしていたので、直接ウンコまみれの肛門を触ることは避けられたが、草を千切って肛門を吹いても一向にきれいにならない。やはり洗う水が欲しいところ。野糞回数も10回を超えて、僕も大分慣れてきた。
一つ皆さんの将来のために、僕が得た教訓を教授すると、
「野糞は草の生えてないところですること。」
さもないと、草にウンコが着いて、それが草の弾力でお尻や手に戻ってくる。
これがマシュマロちゃんの実家の母屋。
仏教ではない。日本の神教に似ている。至るところにピー(精霊)が居て、その精霊を怒らせないように気を使っている。神棚もそれを飾る白い折った紙も日本のそれと近いものがある。
迂闊に母屋に入ったら、お爺さんと誰がもう一人がじっと静かに寝そべって、何かを火で炙って吸っていた。それを民族衣装をいつも着ているまだ若いおばあさんが世話していた。少し甘い匂いがしたが、はっきり何かは分からなかった。
だが、その遠具やスタイルは映画で見たことがある阿片窟の様子とそっくりだった。この辺りはお父さん以上の世代では、ケシが主産業で、大人はほぼ全員阿片を吸っていたそうだ。もちろん今ではケシ栽培は御法度で山のタイ側では全く見られなくなったが、阿片はミャンマーから入ってくる。
それを見たことはマシュマロちゃんにも話さなかったが、急に僕達の寝床が別棟に変更になったことから、僕には隠そうとしているらしかった。
お爺さんは厳格でしっかりした人であり、一族の長でもある。僕も取り立てて話題にすることはなかった。
どうでもいいが、これがトイレ。家の外にある。トイレットペーパーなんて勿論無い。水は山の沢水を引いたもので、雨が降ると赤茶色に濁る。
じめじめしていて、ズボンや靴下の取扱に苦労するが、タイの田舎のトイレとしては至って普通。昔の彼女のランパーンのトイレよりずっと綺麗だった。
こちらはシャワールーム。
トイレと別れているところが凄い。ここの水は、トイレの水よりも少し済んでいて、シャワーに適している。どうやってこの水を用意するのかは不明。
天空の村の雑貨屋。ごちゃごちゃだが、店に人は何処に何があるかちゃんと把握しているからスゴい。
ここでの生活に必要なもののすべてが揃っている。
例えば、夜間の作業のためのヘッドライト。
手ぶれピンボケで申し訳ないが、衣服やスリッパ類。
村で使うだけなら、これだけで十分なのかも。
中央の白いのは手術用のゴム手袋。なんとセカンドハンド。病院から出た使用済み手術手袋を洗ったもの。かなり危険な匂いがするが、とても安くて重宝する。いちご苗のビニールポット剥きには必須のアイテム。
いちご苗を切り出したところ。
これから2日以内に定植しなければならない。いつものことだが途中大雨が触って、全身びしょ濡れの作業となった。