手袋とマメ
昨日から鍬を使っての人力肉弾戦。
「手袋を着けてやれ」と何度言っても聞かない。
「そんなのは滑るから使いにくい」と反論する。
「これは滑らない!」そう言っても使おうとしない。
代わりに使ったのは、手術用の薄いゴム手袋。
僕が勧めた手袋は、滑り止めが付いた軍手。僕はガーデニングや木工の際に何時も着けていた。
1年前、彼女がワンナムキアオで農作業を始めた頃、わざわざ日本から買って持っていたのに、何度使うように勧めても、マシュマロちゃん一家は誰一人としても使おうとしなかった。
「あんたは農作業をやったことがないから、そんな使えないものを勧めるんだ」とバカにした態度だ。
だから僕だけが使っていた。
昨日から鍬を持っての畝作り。
彼女は手袋なしでやったものだから、一日でこんな手になってしまった。
流石に痛いらしく、今日は僕が勧めるスリープ止付き軍手をしぶしぶ使った。
そしたら、もちろん滑らない。手も蒸れない。爪の中に土も入らない。
「使ってみたら、滑らないわね。」
今頃分かったらしい。
夕方、水ぶくれを潰したほうが良いか聞いてきたので、
「まだ下の皮膚が準備出来てないので、自然に潰れるまでそのままにしておいて方がいい。」
そう教えたのに、夜になってハサミで切り取ってしまった。
教えた通りにやればいいのに、誰も教えた通りにやらない。
そのくせ、どうやれば良いのかいちいち聞いてくる。
だから、僕は人に物を教えるのが嫌いなんだ。
「黙って俺の言うことを聞け!」