東南アジアEコマース震度7
最近、東南アジアのEコマースを揺さぶる大きなニュースが二つあった。
一つは、数週間前のことになるが、楽天のB2C通信販売の東南アジアからの大規模撤退。タイではTaradと組んでいたが、ラザダの市場拡大に付いて行けず、事業を第三者に売却するらしい。
この動きは大分前から予想していたし、日本の楽天市場の商品がそのままタイでも買える(または価格が分かる)のは、僕の事業には都合が悪かった。日本人好みの、これでもかという位のくどい商品説明もタイ人には合わないと思っていたので、タイから事実上の撤退のニュースはさほど驚かなったが、東南アジア全体からの大幅な事業撤退というのは驚いた。
そして、数日前、もっと驚いたニュースが飛び込んで来た。
ドイツのロケット・インターネットが設立した「ラザダ」(Lazada)を中国のアリババグループが買収したと言う。
買収額はアリババにとって過去最高となる10億ドル(約1,080億円)とのこと。
ラザダはアメリカのアマゾンと同じように、巨大資本を投入して毎年大きな赤字を拡大させながら市場を駆逐してきた。今やタイ人なら誰でもラザダの名前を知っているのではないだろうか。
アリババが、過去最大級の投資をしてまで何故大赤字企業を買収したのかと言えば、5億6000万人が住む東南アジアという今後世界で最も魅力的なEコマース市場を手に入れるためだろう。ラザダの単純明快な戦略とシステム、優秀な若い社員もアリババの資源になるはず。
でも僕はこのニュースには少し痛いショックを得た。いい感じに発展していたラザダが、フィッシング詐欺と嘘だらけのアリババなんかの手に納められて欲しくなかった。アリババは世界最大規模の会社となったが、中国の会社が社会や消費者を幸せにするとはどうしても思えない。
現にアリババは僕の会社からは金を取ることばかり画策して来て、フィッシング詐欺やだましメールについて、何の責任も取らないばかりか、そういった悪特ユーザーを排除しようとさえしていない気がする。