チェンマイより
6年ぶりにチェンマイの街を訪れた。
地元のくせにチェンマイ動物園にも行ったことがないマシュマロちゃんにパンダを見せてやろうと思ったが、
「それより、あなたと私の仕事が上手く行くようにお祈りしましょう。」
と言うので、ドイステープに登ってきた。
ここは、タイを知ってまだ間もない頃、ネットで知り合ったチェンライの女と来たことがある。 もう遠い昔のことと思っていたが、訪れて見ると、すべて鮮明に覚えていて、ついこの前来たばかりのような気がした。あの娘は今どうしているだろう。
あの時は、階段を使わずに、エレベーターで上がった。今回はちゃんと歩いて登った。
階段にはモン族の少女が居て、マシュマロちゃんが僕の写真を撮ろうとしたら、寄ってきて横にちょんと腰掛けた。 商魂逞しいモン族のお母さんが、何処からか睨みを効かせているのだろう。
タイムスリップして、20年前のマシュマロちゃんに遭ったようだ。
マシュマロちゃんがモン語で何か言うと、少女はモン語で何か答えた。
モン族は典型的なモンゴロイドのようだ。タイ人とは民族だけじゃなくて人種も違う。 モンの少女と写真を写すのは外国人だけで、タイ人は近寄らない。
写真のあと、少女に10バーツ上げると、ワイしながらも不満げな顔を見せた。マシュマロちゃんが財布から10 バーツ、僕が追加の10 バーツをお腹の巾着の中に入れたので、最後は30バーツを得たことになる。この分だと、一日に500バーツはゆうに稼ぐだろう。
黄金に輝くドイステープ。 光が強すぎて、人物が暗くなってしまう。
そこを上手く撮るカメラマンが沢山いた。 獲物は日本人と中国人。
この神々しい社をサンスクリット語のお経を唱えて三回回る。
前回もそうしたが、仏様は願いを聞いてくれたのだろうか?
タイでは、何曜日に産まれたのかが大切。日本人で自分が産まれた曜日を知っている人は少ないだろうと思うがタイ人は全員知っている。 僕は昔、何処かの女に調べて貰ったから知っている。土曜日だ。
土曜の仏様は写真のように7つの首を持つ竜(蛇)を背後に抱える。
おみくじを引くと、僕の人世は幸運に満ちているが、身近に口上手に寄ってくる人に要注意と出た。苦笑いしてしまった。
マシュマロちゃんは僕の事業と自分のいちご事業の成功を何時までも祈っていた。
行きは9時間もかかったのに、帰りは飛行機でわずか45分でバンコクに戻ってきた。
部屋の鍵を開けると、彼女のいなくなった部屋があるだけだった。
誰とも口を聞くこともなく、一人寝るだけだ。