明日の朝、僕のセカンドライフの舞台であるタイに戻る。
日本にいる間、每日新しい黒ラブラドールを連れて、死んだ愛犬黒ラブラドールと歩んだ散歩道を歩いた。

あれから街は大きく変わって、かつての散歩コースだった空き地は殆ど無くなり、家だらけになった。
22年前、こんなに家が増えるなんて想像も出来なかった。
街の風景は変わり、犬を放して遊ばせる場所も無くなった。
もう僕の故郷じゃ無くなった気がした。
この街に来たのは22年前だが、10年足らずで子供たちが引越して居なくなったし、僕自身も12年でタイに渡ったので、何の為に苦労して新居を設けたのか分からない。ローンだけが未だに残っている。

今は、タイに家も建てて、愛するマシュマロちゃんと暮らしているので、日本の家はもう要らないのかも知れない。しかし、マシュマロちゃんに捨てられたり、何かの異常事態でタイに居られなくなった時に、日本に住む家が無くなるのは余りにも危険なので、今回はこの家を維持することにした。
娘は美容院の店長になり、旦那さんは務めていた会社の社長になったと聞いた。収入は僕の現役時代の最大値の2.5倍以上あるらしいし、親御さんは東京に億単位の不動産を持っていて、近々そこにあるコンドの一部屋に住むとか言っていたので、こんな無責任親父が娘のお金の心配をする必要はないみたい。
息子は、お嫁さんの親御さんの土地に新居を建てていて、もうすぐ完成するそうだ。つまり、僕の家に住むことは無さそう(離婚すれば分からないが)。
ワンコと散歩していて、なんとなくだが、もうここに帰って来て住むことは無いように感じた。
たぶん、当分は今の妻が一人で犬と住むだけになりそう。
妻はローンも払ってないので、今更下手に熟年離婚しても損するだけ。それが今回離婚に同意しなかった最大の理由だと思う。
後2年でローンは完済するし、年金も貰い出すので、家の事はその時に再考しようと思う。
その時までにタイで稼いで、僕の家の不動産価値(殆ど無いが)の半分を妻に払って綺麗さっぱり別れるのも良いかも知れない。
お金に余裕があれば、タイランドエリートビザでも買って長くタイに住んで、いよいよ日本の家が不要になったら、その時に売っちまうのも有りかな。
こうして振り返ってみると、いま自分がやるべきことは、タイでの事業を発展させることと、子供を持つことに集中することだと思えた。
僕はもう日本の社会や家には取り立てて未練はない。
日本食には未練があるが、お金を出せばタイでもある程度食べられるし、たまに日本に旅行に来て食べることだって出来る。
一人暮らしの母親が心配だけど、僕より側に兄や姉が居るわけだし、タイにいたら急な対応なんて無理。元気なうちに、タイの新居や農園に連れて来て見せてあげたい。
自分が幸せにやってるのを見せることが一番の親孝行だと思うから。
今回の3年ぶりの帰国では、いろいろ考えることが多かった。
結論は、老人ばかりの日本で隠居生活するよりも、愛する人と若者たちに囲まれたタイで過ごしたい。
もう、暫く日本には帰って来ないような気がした。
多分、旅行には来るけどね。
刺身とお酒と温泉を味わう為に。