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B型肝炎の元ワーカーの状況

三日前、一日掛かりでコラートのマハラット病院に見舞いに行って来た。

病院に着いて奥さんに電話するも電話は繋がらない。バッテリーが無くなっているのか、プリペイドの通話料金が無くなっているのか、話したくなくてブロックしているのか知らないが、ともかく繋がらないので何処に行けば良いのか分からなかった。

病院には入院患者を見つけてくれる受付があって、そこに行って探して貰ったのだが、何しろ滅多に使わない本名の発音だけが、大病院の中で患者がどこに居るか探す手掛かりで、それでは見付からなかった。

受付の女性はプロで、

「焦らないで気を沈めてね。きっと見つかるから。」

総合受付のデータベースでは見付からなかったので、男性感染症の病棟に移って、そこでまた検索してくれた。

「HBV感染の26歳の男性患者で、入院は26日。パクチョンナナ病院から搬送されました。」

という情報を追加して、待つこと30分。

「有ったわ! 26歳。名前はXxxxx。」

と受付の女性は嬉しそうに叫んだ。

名前はかなり違っていたが、一部分似た発音部分があった。

「この病棟の7階のXXに居るわ!」

「ああ、まだ死んでなかったんだ」と僕はホッとした。

(この一件があったので、新しい若き住込みワーカーのIDカードの写真をアーカイブしておいた。)

病室はICUで面会出来ない時間帯だったが、医師の注意を遮ってICU内に侵入し、ワーカーを探した。

ICUといっても、大部屋で100床くらいあって、廊下やエレベーターホールまでベッドが溢れかえっていた。

エイズ末期のような若い男性から、がん末期のような老人で歩くスペースも無いくらい。

その時、ちょうど二人が呼吸停止で、医師が心臓マッサージをしていたが、割と直ぐに止めた。

そこに居た別の患者さんのお見舞いに来ていた奥さんは、

「そこにも、もう二時間も目を見開いたまま瞬きもしない人が居るのに、看護婦も医師も何もしないのよ。」

と言っていた。

まるで戦場の様だった。

マシュマロちゃんは、

「死ぬような重い病気になっても、公立病院には来たくないわ。」と言った。全くその通りだと思った。

元ワーカーは、まだ意識があって、

「お母さん、お母さん!」と10秒程館内に響き渡る程の大声で苦しそうに泣き叫んだ後、意識が朦朧として白目になり静かになり、それから数秒後にまた同じように、「お母さん、お母さん!」と子供のように泣いていた。

ワーカーの鳴き声は、広い大部屋に響き渡る程で、聴くに耐えなかった。

意外にも妻や子供の名前は呼ばなかった。

彼は僕らが来たことには気付かなかった。

不思議だったのは、そこに奥さんと子供が居なかったことだが、数時間後に患者の両親が病室に来て、話をすることが出来た。

病状に関しては、両親はまるっきり理解出来ていなくて、さっぱり分からなかったが、奥さんと子供が病室に居ない訳は、医師が感染を心配して介護を禁止したのが理由だと分かった。

ワーカーのお母さんは、大量のお粥を持って来ていた。肝臓を休める為にも絶食が良いんじゃないかと思ったが、ワーカーは美味しそうにいっぱい食べた。

「お母さーん!」と泣き叫ぶ度に、お母さんは息子のほっぺたを優しく叩き、

「母さんはここにいるよ。ご飯食べなさい。」と言って、口にお粥を運んだ。

その声や母の気配は感じているようで、お粥を美味しそうに食べた。その食欲に少し希望の光を見た。

耳は聴こえるが、眼は見えて無いようだった。

彼は、血漿成分をものすごくゆっくりと点滴されていた。

導尿されて、真っ黒くて血の混じった尿が袋に200cc程溜まっていた。

彼のB型肝炎ウイルスは母から貰ったものなので、医師も介護を許していたようだった。

その後、彼がどうなったのか僕は知らない。

彼らの荷物や車は、既にいちご園の新居から持ち去られていて、もうこのいちご園に来ることはないように感じた。

多分、此処に来た事が災いの始まりと感じて、逃げるように去って行ったのだろうと思った。

その新居には、数日後に新たに来た若い夫婦が住むことになる。(今は一時的にショップに寝泊まりしてもらっている。)

もし彼が来たら、それがピー(精霊)だったとしても、一緒にビールでもう一回乾杯したいと思っている。

現在のタイでは、B型肝炎ワクチンはすべての乳児に接種の機会が与えられているそうだが、いろいろあるワクチンのうち、どれを接種済みなのか把握している人は少ない。

新たに来た住込みワーカーにも、病気は無いか聞いたが、

「何にも無い。健康そのもの」という頼もしい返事が帰ってきたが、B型肝炎の検査のことを聞いても、何のことか分からないとの返事だった。

何の罪も無さそうな幼妻の笑顔が、小雨の農園に希望の光を落としていた。

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Author:ハムケン
サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった50代親父。

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