朝早くトムから電話があって、
「私、今日行けなくなった。生理が始まったから。」
「生理でも、掃除とか洗濯とか、やることはいっぱいあるぞ。」
「うん、分かってる。でも来週行くから今日は行かないね。ガチャ。」
平行して、プーからメッセージ。
「今日朝早く行くと言ったけど、昨夜から調子が悪いので遅くに行くね。」
朝早く僕をたたき起こして、植物に水をやり、その後で病院に連れて行ってもらい、ワークパーミットで必要な健康診断書を貰いに行くことになっていた。
プーに何処が悪いのか聞いたら、生理が始まったのだそうだ。
「もう終わってもいい年なのに、私はいっぱい出るのよね。」
今朝は、どうも寝起きが悪いと思ったら、二人の生理が始まったからだったんだ(そんわわけはない)。
プーに連れられて、10時位に一軒目の病院に行くと、中国正月で休み。二軒目は公立病院でオープンしていた。
欲しい健康診断書の例を持っていったので、それを見せると直ぐに通じた。
診断して欲しい内容は以下の6項目だ。
- 精神病
- ライ病
- 結核(発症している場合のみ)
- 象皮病(症状が進行している場合のみ)
- 麻薬患者およびアルコール依存症患者
- 梅毒(第3期以上の進行のみ)
受付嬢:「30分で出来ますよ。パスポートかIDカードを出してください。」
僕:「パスポート?持ってこなかったよ。パスポートの写真があるから、それでいいでしょう?」
受付嬢:「ダメです。実物が必要です。」
僕:「どうせ見るだけでしょう。エイズ研究所でも写真でOKだったよ」
受付嬢:「うちはダメです」
仕方なく、パスポートを取りに帰ることにした。
そしたら腹が減ってきて、プーの娘も腹が減って死にそうだというので、病院の前に朝食を一緒に食べることにした。

遠くて、読めないが、有名なお笑い芸人がやっているお店らしくて、美味しいのか人が一杯だった。
そんなことをしていたら、病院に戻ったのはお昼になってしまった。


15分ほど待つと、名前を呼ばれ、血圧を測ると言う。
「診断書書いてくれるだけでいいから、検査は一切しなくていい」と看護婦に行っても、全然通じない。4,000円ぐらいの家庭用自動血圧計だった。そのほうが信用できるけど。

その後、診察室に呼ばれ、女医さんらしき人と少し話すと、何やら採血の準備をしている。

「採血なんかしなくていい。ただ診断書を書いてくれるだけでいい。」そう言うと、
「いえ、ここではちゃんと調べます。」とまっとうなことを言う。
「それで、全部でいくらかかるの?」
「280Bだと思います」
「インターネットで見たけど、何も調べずに40Bで診断書を書いてくれた病院があるそうだよ。」
「いけませんねえ」と笑う。
280Bなら、それほど高くないので了解すると、採血しながら
「どこか悪いところがありますか?どんな病気を持っていますか?」と聞いてくる。
「どこも悪く無いです。とても元気ですよ。HIVを持っているだけです。」そう言うと医師にも冗談が通じて笑った。
ちょっと診ただけで、僕が精神病患者や麻薬患者およびアルコール依存症患者かどうか分かるわけない。
採血をしたのは梅毒検査のためだ(VDRL)。血算や生化学検査はやらない(できない)。
その後、別の診察室に呼ばれて、80歳くらいのおばあちゃん医師の診察を受けた。
おばあちゃん医師:「血圧は高いですか?」
その質問が看護婦が聞こえて、さっき測った数字を廊下から大声で医師に伝える。
おばあちゃん医師:「血糖は高いですか?脂肪は?」
僕:「いいえ、全部低いです。どこも悪いところはありません。HIV以外は。」そのおばあちゃん先生、顔色一つ変えない。
その医師、服の上から聴診器を当てて、呼吸音と心音を長いこと聞いている。それから、懐かしいステンレスのベラを僕の口に突っ込んで扁桃腺の腫れを見た。次に、喉のリンパ腺の腫れを触診して、最後に下瞼を引っ張って腫れをチェック。やることが全部懐かしい。
「うん、どこも悪いところはないね。あなたはどこから来ましたか?ベトナムですか?」
「いえ、日本です。」
「ああ日本人ですか。」
これで、終了。

待合室の様子。

40Bの予定が280Bになって、半日がかりで入手した診断書。ちゃんと6項目ある。
おまけで、どこも悪くないと書いてあった。
(名前は消してあります)
ともかく目標達成。
Topic : タイ・バンコク
Genre : ForeignCountries