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胃のない胎児:術後の経過

住込みワーカーの子供のチュラローンコーン大学病院での手術は、予定よりも大分遅くなったが、一応成功したようである。

なのに、術後3ヶ月にもなるのに、未だ酸素吸入が欠かせない。

喉と食道と胃を繋げてたのに、未だにミルクさえ飲めない。

体重は、手術前と変わらず。と言うか6ヶ月前から増えてない。

この写真は先日僕がコラートのバンコク病院に行った際に、同じくコラートにあるマハラート病院に入院中のその子をお見舞に行った時のもの。

バンコクのチュラロンコーン病院での手術後、暫く経過を観ていたが、病院内に場所が無くなってコラートのマハラート病院に引っ越して来ていた。

足りない食道は、胃の一部を切って作った。

三回もお腹や喉を切り開いて確認したが、食道はちゃんと繋がっていた。

が、喉がいけない。

その子は食道が無かっただけじゃなくて、気道も細かった。新たに作った食道に押されて気道が潰れて酸素吸入が必要になった。

よだれはもう口から垂れないので、口と胃はちゃんと繋がっているのだろうが、ミルクが喉に逆流した時にどうなるか分からないと言うことで、あと半年間口からの食事は禁止された。

チュラロンコーンの医療チームはとても良くやってくれたと思う。術後もすべて公費でやってくれているので、お金のないワーカーでも介護出来る。だが、術後経過は芳しいとはとても言えない。

けれども、幸い子供は熱も出ず、元気そうにしている。

母親は病院で子供と寝ているだけなので、体重が90キロまで増えてしまった。

そいうわけで、産後一年になろうというのに、母親は仕事が出来ない。恐らく、あと半年間は無理だろう。

僕らとしては困った問題だが、ここ迄来た以上、もう少し寛大に面倒を見るしかない。

考えてみれば、僕の事故よりも遥かに重く不幸な子供である。

医師と話していないので、術後の状況や今後の見通しについて知るところではないが、なんとか元気になって欲しいものだ。

三年目になる住込みワーカーは、初めての子が去年食道閉鎖症に方腎欠損症で産まれた。数ヶ月前に来たワーカーはE型劇症肝炎であっという間に死んでしまったし、マシュマロちゃんは半年前、原因菌がよく分からない重度肺炎になってバンコク病院に入院したし、僕は僕で事故に会って、産まれて初めて意識不明になったと言うことで、なんか良くないことが続いている気がする。

胃のない胎児:手術日決まる

一昨日の夜、チュラロンコーン大学からマシュマロちゃんに電話があった。

「先天性食道閉鎖症の子供を持つ人のお知り合いですか?」

突然の電話に始めは何のことか分からなかった彼女だが、

「ああ!はい、そうです。」

「手術日が決まりました。明後日水曜日ですので、明日火曜日朝迄に病院に来てください。」

何で親じゃなくてマシュマロちゃんに電話して来たのか知らないが、きっと電話代がなくて通じなかったんじゃないだろうか。

ともかく、待ちに待った手術日がついにやって来た。

CTスキャンをして、それから多数の領域の医師とグループ協議を行って、どうやって手術するか決めた様だった。

食道の足りない部分をどうやって補うのかが一番の問題。

それから、腎臓が何故か一つしかないらしいのも気がかり。

昨日夕方、ワーカー夫婦はマシュマロヤリス号で勇んでバンコクに上京していった。

その前に、カオヤイショップ前で多くの花をバックに子供の写真を撮った。

手術が上手くいきますように。

胃のない胎児8:良くならない

チュラロンコーン大学病院に入院して、良くなったと思ったワーカーの子供は、翌日には悪くなってICU管理に移された。

風邪を引いて呼吸困難になったらしい。

食道が胃に繋がってないので唾液が飲み込めないため、口に溜まった唾液は気道を塞ぎ咳き込む。母親は直ぐに唾液を吸引機で吸い取るが、それまで息を吸うことが出来ない。

今は一般病棟に戻されたが、一時血中酸素飽和度が70台になったらしく、未だに酸素吸入が止められない。マシュマロちゃんは肺炎になったとき、酸素飽和度が91でICUに入った。70はほんとにやばい。

母親がミルクの調整を間違えたので、今は医師や看護婦がミルクを調整して胃の穴から授乳させているが、なかなか体重増加が見られず、医師の話では、一月遅らせた手術日(あと3週間後)にも、とても手術が出来そうになく、後2~3ヶ月待たないといけないらしい。

もうすぐ良くなる予定だったのに、とても困ったことになった。

無事に育つかどうか自信も持てない。

実は、この子は父親の二人目の子供で、別れた奥さんとの間に出きた初めての子供も心臓に問題があって、産まれて2年間病院を出られず、そのまま亡くなったと聞いた。

何が悪いのか知らないが、不幸な経緯だ。

今の母親は、昨年「産まれる迄働いて、産まれたら直ぐに働く」と言って僕を驚かせたが、現実には昨年11月から今まで全く働いてなく、手術が数ヶ月後になるなら一年近く働けないことになり、僕らのいちご園内にとっても、もはや戦力ではなくなってしまった。

今季もマシュマロいちご園を世話してもらう予定だったが、父親一人では無理なので、誰かを補充するか入れ替えることを考えなくてはならない。

いろいろ困ったことになりそうだ。

胃のない胎児7:良くなった

チュラロンコーンの医師や看護婦はやっぱりレベル高い。

一生懸命、自分たちができる事を追求する仕事師。

お陰で、もう低ナトリウム血症はなくなり、子供の顔がすっかり良くなった。

良かった。良かった。

て、手術はこれからだけど。

胃のない胎児6:大学病院に15時間

日曜日にバンコク入りして一泊し、月曜の朝早くチュラロンコーン大学病院に行くのが良いという僕の計画は正解だった。

ホイクワインの今は無きナタリー裏の新しいコスパ抜群のホテルを朝7時に出て、MRTで大学病院には7時半に着いた。

が、ナースのスクリーニング(仕分け)を通過したのが9時半。小児科に通され、医師と面会したのが11時。

手術予定表を見たら、26日に確かに住込みワーカーの子供の予約が入っていた。

が、数日前に小児がんの緊急手術の予定がそこに入ってしまった。

仕方なく次の空き時間を探すと、何と一ヶ月先迄びっしり。これには文句は言えないので、一月先の予定を入れて貰った。

医師との話には僕も立ち会った。

予想通り先天性食道閉鎖症のタイプAだった。

「欠損した食道の長さは長く、引っ張って繋げられないので、結腸か胃の一部を切り取って管にし、足りない食道部分に補間するしかない。未だどんな方法でやるか分からないが、大きな手術になる。おそらく脇からの手術は無理で開胸することになるだろう。でも、上手く行けば術後1週間から10日の位で退院出来ます。」

実のところ、タイプAの診断もコラートの病院でなされていることがコラート医師の紹介状に書いてあったのを僕はその時初めて知った。住込みワーカーは、食堂の一部が細くなって詰まっているだけで、直ぐに繋げられると言っていたが、やはり何も分かっていなかった。

「X線と全身状態の検査をしてから、今日は帰って下さい。来月22日に入院して貰って、24日に手術です。」

が、X線撮ったのが12時。結果が上がってきたのは午後2時。

X線は造影剤も入れずに撮っただけなので、素人の僕が見たところ、欠損部の状態はさっぱり見えない。CTを取ると思っていたのに、それは無し。造影剤なしで一体何が分かるだろうか。

それから、やっとこさの血液検査。午後1時半に採血して、結果が出たのが4時半。

そこで大問題が見つかった。

詳しくは書かないが、重度の低ナトリウム血症(118mEq/L)。クロライドもカリウムも危険水域。意識朦朧、引きつけが起こっても可笑しく無い程の異常値。ヘモグロビンもヘマトクリットも低値。

こんなんじゃ手術はとても出来ない。

コラートの病院で尿潜血があると言われていたので腎臓の問題かと医師に聞くと、

「腎臓はそう悪くない。」

「じゃあ、どうしてこんなにナトリウムとクロールが低いんですか?」と聞くと、

「僕にもさっぱり分からない。別の方法で測り直してみて、良ければ帰っていいけど、悪ければ帰れません。」

直説法での測定結果が出る前に時間切れで別棟の夜間診療の部屋に移動。

待てども待てども順番が来なくて、夜8時にやっと医学部学生の研修の材料として呼ばれた。

「今日はどうされましたか?」から始まって、経緯説明。

指導の医師が検査結果を見て仰天。

「この値で無症状ってどういうこと? 不思議だねえ。さて、どうする?」

尿中のナトリウムも見ておきましょう、とここで初めて採尿。

僕は流石に頭に来て、

「何で初めから全部調べないんだ。時間の無駄だろう!」とマシュマロちゃんに言うと、

「30バーツ診療じゃ、そんなことできるわけない。必要最低限のことをちょっとずつやるしかない。」との説明。至極納得。

夜の9時、緊急入院が決定。

いろいろ話して、それもすべて公費負担でタダになった。

病棟に入る前、入ってからを含めて、5人以上の医師と看護婦から、何度も何度もミルクやその他飲み物の量や頻度について同じことを聞かれた。

一回の乳の量や下痢や嘔吐の有無(嘔吐できないが)、他の薬の有無、どんなミルクか?などなど。因みに、現在は母乳は止まって、人工乳になっていた。

基本、胃瘻からミルクを入れているだけなので、そこが気になるのは分かるが、同じ質問ばかりで少々うんざりしていた。

夜10時。最後に看護婦が聞いた。

「今上げているミルクを見せて下さい。どうやって調整していますか?」

「サジ2杯にお湯4オンスです。」と母親。

看護婦はミルク缶の説明書きを見て、

「ミルクサジ2杯ならお湯2オンスですよ。どうして4オンスなのですか?」

結局、無知な母親は何処かで勘違いして、ずっと二倍薄いミルクを与えていたのだった。

ミルクしか飲まない乳児が二倍薄いミルクを与えられたら、本来の倍量の水を飲まされているのと同じなので、それが原因の低ナトリウム血症だった可能性がある。このところ体重が増えなかった理由でもあったかも知れない。

ちょっとくどかったけれど、注意深く徹底的に問診する重要性を感じた瞬間だった。

緊急入院の乳児と母親を残して、僕らはホイクワインのホテルに戻り、それからカオヤイ迄走リ、家に着いたのは夜中の2時だった。

胃のない胎児5:いざチュラロンコーン医学部病院へ

住込みワーカー夫婦の子供は、食道と胃が繋がっていなかった。

お母さんは、乳児の胃に開けた穴つまり胃瘻からミルクを飲ませて育てた。医師から命が繋ぐのは70%と言われたが、6か月間命は繋がり、いよいよ胃と食道を繋ぐ手術の時がやってきた。

前にも書いたように、この手術を含め、これまでの治療費はタダである(全額公費負担)。

コラートはタイ第二の都市だが、その手術が出来る医師がいないということで、バンコクのチュラロンコーン病院で施術することが決まった。

今まで待ったのは、体重が6kg以上に増えるのを待っていたから。実のところ、このひと月の体重増加は芳しくなく、未だ6kgに届いていないが、いよいよ明後日月曜日がチュラの医師とのアポイントメントの日なのだ。

住込みワーカーはクルンテープなんて道も分からず怖くて行けないと言うし、多分医師の話もチンプンカンプンだろうから、僕らが病院まで連れて行くことにした。

月曜日の朝は、通常クルンテープ行きの街道は何処も大渋滞で、何時に着くやら分からないし、運転するのもイライラする。夕方に着いて医師と面会出来なかったら時間の無駄もいいとこ。

そこで、明日の夕方にラチャダーのホテルに入り一泊し、月曜日の朝にMRTにてルンピニーのチュラロンコーン大学病院に行くのが正解と見た。

ホイクワインに600バーツ余りのホテルも取れた。

チュラロンコーン大学は、かつて僕がタイに乗り込んで来た時の古巣。あの辺りは勝手知ったるである。

せっかくシーロムに行くならタニヤ辺りで遊びたいが、そういうシチュエーションでもないので、ナイトマーケットかシネマくらいにしておこうか。

それはさておき、月曜日は恐らく担当医師が診察し、それからCT(コラートの公立病院にはない)の予約を入れ、その他血液検査等を行う。とすると、結果が出て手術日が決まるのは早くて一週間後。待ち行列が長ければもっと掛かる。したがって、赤子と母親だけが入院生活を送り、父親は付き添っていても役に立たないので、月曜日に僕らと一緒にカオヤイに帰ってくることになると予想している。

子供と母親は、手術が成功裏に終わり、口からミルクが飲めるようになって、胃瘻を外してから帰ってくる。

早くその日が来ますように。

胃のない胎児4:繋いだ命

住込みワーカー夫婦の間で産まれた食道と胃が繋がっていない子供は、生後4ヶ月が過ぎ、順調に体重が増えてきた。

今の体重は5kg超

唾液が飲み込めないので、母親が頻繁に喉に溜まった唾液を吸引しなくてはならず大変だ。

ミルクも飲めないので、お母さんが胃瘻チューブからミルクを入れて飲ませている。

一月半程前迄は、ミルクも一回に50ml程しか飲めず、痩せて体重も増えなかったが、もっとミルク量を増やす様に言ったのが効いたのかどうか知らないが、ともかく急に脂肪が付いてきて、手足も良く動かすようになった。

ミルクを飲ませてもゲップで咽ないところから、A型つまり食道と気道は繋がってないのではないかと思う。

でも、その方が胃から肺へ食べ物が入って肺炎を起こすことがないので良かったのかも知れない。

お母さんの顔を見つめたり、笑ったりすることもある。お母さんの声にに反応して笑うこともある。

医師が言うには、体重が6kgを超えたら手術が出来る。恐らくそれは、僕らが日本から帰って来た頃だ。

手術は食道を繋ぐ訳だが、長さが足りないとやや厄介ながら、上手く繋がれば、口からおっぱいや食べ物が食べられるようになる。丁度、離乳食を始められる時期なので、手術が成功すれば、更に元気に育つことだろう。

一昔前迄は、この手の先天異常は命を繋ぐことはまず無理だったが、最近の日本では85%位生きられるようになった。

タイで、この子供の食道が繋がってないことが分かった時、コラートの医師は生きられる可能性は70%位だと言った。高性能の画像診断機器が使えないとか、熟練医師が少ない中で、70%は難しいんじゃないかと思ったが、結果として今まで育って来られたので、多分生き延びられるだろう。

ところで、気になる医療費だが、驚いたことに、全額公費負担が適用された。唾液を吸い取る電動アスピレーターだけは4000バーツで買わなければならなかったが、ICU管理代、2ヶ月程の入院代、薬代、処置費用等、ワーカー夫婦は全く払っていない。

そればかりか、今度の手術は、タイの東大に当たるチュラロンコーン大学医学部病院で受けることが決まったが、その手術代もすべて公費負担である。

タイにこんなに庶民に優しい医療保険制度があったとは知らなかった。

勿論、誰でも適用される訳じゃなくて、高度医療が必要だが、本当に支払い能力がないごく一部の場合に限る。

お陰で僕らが援助しなくて済んでいるので、僕らにとっても有り難い話だ。

手術が無事終われば、お母さんも働けるようになると思う。そうなれば、カオヤイ農園に関しては、次期植付迄はなんとかマネージ出来そうである。

ここまで来れば、後は元気に育ってくれると思うし、そう願うばかりだ。

胃のない胎児3

産まれた子には、ちゃんと胃があった。

食道と胃が繋がっていなかっただけ。

だから、お母さんの初乳が飲める(胃に刺したチューブからだが)。こういう子は心臓にも奇形があることが多いが、残念なことに、やっぱり問題があった。

普通は2つある血管が3つあるとのこと。

詳しくは分からないが、おそらく動脈管開存症のことと思う。胎児のとき、潰れた肺には血液が多量に回らないので、バイパスとして存在する血管があるが、産まれて肺呼吸が始まると普通は直ぐに閉じて消える血管が閉じずに残ってしまった状態で、大動脈から肺動脈に血液が流れ込んでしまうため、肺や心臓に負担がかかる。

産まれた子は、そのせいか呼吸がとても早く、胸が大きく上下するので、一見して呼吸が楽に出来ていないように見える。

腎臓も悪いらしい。

子供は起きると手でチューブを抜いてしまうので、起きると直ぐに睡眠薬を入れられて眠らされるらしい。そんなんで良いのだろうか?

母親は退院したが、子供が愛おしくて毎晩泣いていたので、病院の小さなベッドで寝泊まりさせて貰えることになった。子供は新生児室で保育器の中なので、病院に泊まったからといって、いつも会える訳ではない。

予定では、新年5日から仕事再開と言っているが、まだチューブが何本も刺さったままの子供は当面退院できそうになく、仕事が再開出来るかどうかは未だ分からない。

飲んだ乳が肺に逆流して肺炎にならなければ良いが。

万一、悲しい結果になっても、母親は未だ22歳。これから未だ幾らでもチャンスはある。

胃のない胎児2

12月7日、出産予定日を翌日に控えたワーカーの妊婦は、コラートの公立病院に入院した。

別に陣痛や破水があった訳ではない。医師からの指示でそうしたらしい。

そして、予定日に出産した。おそらくは人工的に陣痛を起こして産ませたものと思う。

産まれた赤ちゃんにどんな診察をしたのか、詳細は伝わって来ないが、不幸にもハムケンによる素人推理が当たって、子供の胃と食道は繋がっていなかった。

胃と小腸が繋がっていないとか、気道に穴が空いていて呼吸が異常とか、他にも嬉しくない情報があるが、何分超忙しい医師と、医学的知識が皆無に等しい人との会話からの情報なので、詳細は分からない。

驚いたことに、新生児を診ている医師と産婦とは、まだ一度も話したことがないのだそうだ。

今日、マシュマロちゃんが病院に行って分かったことは、

新生児は体中にチューブが刺さっていて、呼吸が異常に速いが、皮膚の色は正常に見えた。

産まれた子は胃瘻チューブを入れる手術をして、そこから凍結保存した産婦の母乳を飲ませるようにする。退院予定は未定で、そのまま病院に残り、約半年後に胃を繋げる手術をするとのこと。

母親は回復したので、本日退院し、ワンナムキアオの掘っ立て小屋に戻った。

母親は毎日母乳を絞って凍結保存し、毎週一回それを病院に持参する。搾乳器と冷凍庫ないけど買うしかない。

子供が生きて退院出来る見込みは70%という説明だったそうだ。

この先どうなるか読めないが、仮に命が続かなかったとしても、若い彼らにはまだいくらでも次のチャンスがある。

週一回の面会だけで、子供を抱いて乳を飲ませることもないままなら、寧ろその方が悲しみが少ないような気がした。

胃のない胎児

超音波の検診で三度とも医師から「胎児の胃がない」と言われた。

おまけに羊水過多。

僕は絶対に妊娠時期の計算間違いで、予定日より一月早く産まれると思っていたが、そうじゃなかった。

約一ヶ月前、オンボロの超音波診断機の写真を一枚だけ見せて貰ったが、あばら骨の下は真っ黒で、胃も肝臓も腸も膀胱も腎臓も何にも見えなくて少し変に思えたが、余り気に留めなかった。

妊婦は、一月前に2.5リットル程羊水を抜いたが、今はまた双子みたいに大きなお腹になっている。

ワンナムキアオで住込んで働いて貰っている夫婦の話である。

半ば他人事じゃないので調べてみると、

「胃が見えない」プラス「羊水過多」は、10中8、9食道閉塞のようだ。胎児が羊水を飲み込めないので、羊水過多になり、胃は空っぽで見えないと言う訳。

多くの場合、食堂と気道が間違ってくっついているらしい(C型)。気道とはくっついてないが、食堂が短く接合してない場合もある(A型)。

何れにしても、乳が飲めないので、放っておいたら死んでしまう。可及的速やかに食道を繋ぐ手術が必要になる。

母親の母親は、心配だから親元のチェンライの田舎に戻って、そこで産むように指示し、妊婦も一時は帰ると決心したが、もし本当に胎児·新生児消化管閉鎖だったら、小さな保健所しかないチェンライの田舎で無事に子供が産まれ育つかどうか疑問だ。

せっかく、コラートの大病院(公立)で羊水過多と胃が見えないことが分かっていて、医師も「出産後直ぐには退院出来ないと思っていて下さい。」と言っている訳だから、そこで産むのが正解だろう。そういうことをマシュマロを通して言ったところ、彼らの気が変わってチェンライに帰るのをやめた。今日も大きな腹を抱えていちご園で働いた。

一応コラートは人口でタイ2番目の大都市(チェンマイよりも大きい)なので、タイといえども適切に処置出来るのではと期待している。

幸い、両親は質素に生活して、給料の大部分を貯金に回しているので、いざとなっても手術代は出せるだろう(難しい場合は無理かも知れないが)。

嫌なのは、食道閉塞がある場合、心臓にも先天異常がある場合が多いようなで心配は尽きない。

無論、たまたま胃が見えなかっただけで、実はちゃんと繋がっていて、元気に育つ可能性もある。

胎児·新生児消化管閉鎖と担当医から診断された訳ではなく、僕が勝手にそう思っているだけの話だから。

胎児·新生児消化管閉鎖は2000人に1人くらいあるようで、それ程稀な先天異常ではなく、ダウン症と同程度のようなので、産科の医師なら知っているはず。

来月には、マシュマロいちご園で元気な泣き語を聴きたい。

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Author:ハムケン
サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった50代親父。

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