カオヤイ農場の近くにある高級リゾート、ハイソなレストランにアポ無しで、しかも薄汚れた格好でモトサイで乗り付け、守衛にマネージャーかシェフに話があるから会わせてくれと頼む。
手にはいちごのフリーサンプルをワンパック。それから新たに作ったA4一枚のブローシャー。裸足に泥汚れたサンダル。下手くそなタイ語。
でも、マネージャーやシェフが居ればちゃんと会わせてくれる。タイはアポイントを確定するのは難しいが、ノーアポでも割と気安く合ってくれる点は良い。
彼らに会えたら、自己紹介と面談の目的を端的に告げて、いちごを現在使っているか、僕らのいちごを買う気はあるかどうか聞きながら、持ってきた甘い完熟いちごを食べてもらう。
「では、興味があったらここに電話してください。」と言って帰ってくる。
この種の飛び込み営業で商談に結び付く可能性は普通低い。でも、今回僕達の成績はまずまずだった。
① Hotel Le Monte
フリーサンプルをマネージャーと従業員が一緒に食べて、みんなして「甘い! 美味しい!」と絶賛。
1時間後、従業員の女性が2人いちごを買いに来た。自分たちの分とホテルで使う分500g入20箱。
ホテル用のは、カムウェルフルーツに使った。
そしたら、客がその甘さに驚いて、何処のいちごかとホテルに聞き、僕らのいちご園を紹介したところ、「じゃあ、すぐ行こう!」と言うことになり、8人乗りキャビン2台でやって来た。
そんなことが2回続けて有った。
また、オカマのマネージャーが家族に持って帰ったり、ホテルのパーティで使ってもらったりで、毎日数個から十数個のオーダーが続いている。
② Khrua Khaoyai
「カオヤイ食堂」といった感じの大衆食堂で、大型観光バス5台分のお客もこなす大食堂。料理の種類も豊富。一気に100食分のオーダーが入っても、待たせることなく食事を提供出来る。家族連れも多く利用する。
ハイソではなく中流だが、地元のフルーツや野菜を売るコーナーもあって、僕らのいちごも売ってくれることになった。買い取りではなく、委託販売。価格の半分は食堂の利益なので、僕らの身入りは少ないが、連日売り切れて追加注文が入る。どの道、売り切れないほど余っているいちごなので、利益率が低くても捨てるよりはマシ。ただし、ノーブランド。
③ Big Cheff
幾つかハイソレストランを回ったので、何処から情報が伝わったのか知らないが、この辺りのシェフの元締めがいちご目当てにやって来た。
彼は5カ国語を話し、日本の銀座にある超有名日本料理屋のチーフシェフとも知り合いとのこと。日本料理も洋風ケーキも何でもこなすそうだ。残念ながら、日本語は少ししか話せないが、英語は流暢なので意思疎通は問題ない。
今はカオヤイの高級ホテルのチーフシェフをしている。
彼はお金はあるようで、フリーサンプルと言っても、必ずお金を払う。
僕らのいちごを気に入ってくれて、毎日5~10箱買いに来てくれる。

今度彼が務めるホテルの夕食に招待された。
今日は、
「今日5人のシェフ仲間に会うので、彼らにここのいちごを紹介したいから5箱売ってくれ。」と言ってやって来た。
僕らのいちごの営業をしてもらう訳なので、いちごはフリーサンプルとして差し上げた。そして、ブローシャーを5枚配ってもらうことにした。
僕はローカル市場で安売りはしたくない。
鳥の餌の方がマシ。