昨年、種から育てた中国産四季なりいちごは、単なる小粒のワイルドストロベリーで、まるで使い物にならなかったが、品種96番の方は幾らか頑張ってくれた。
96番は成長が早く、11月には花の数が凄く増えて、11月末から1月までは沢山の実がなった。巨大な扇状果が異常に多かったが、80番がまだ実を付けない時期に実が沢山成ったので、初めの頃はお客さんに人気があり、半分以上の人が96番のいちごを摘んで楽しんだ。
しかし、病気に弱く、真菌性の病気(疫病と炭疽病と思う)で次々に弱り、2月には3割が枯れて良い実もならなくなった。3月末には5割以上が枯れたし、枯れてない株も見窄らしく傷んで見苦しくなった。
病気を克服しない限り使えない品種と分かったが、育苗期に病原菌を入れなければもう少し良い結果になるかも知れないし、年末年始の時期に実を着けてくれる点は、とても有り難いので、今年ももう少し実験的育成を続けて見ることにした。
去年、いろんな方法で種まきしたが、寒天法よりもスポンジ法の方が良く、またピートモス+ココナッツ粉でもイケることが分かった。この方法が簡単な上に移植し易いので、この方法にした。ただ、これの欠点は、ピートモスに潜む緑藻(訳者中:植物に近い真核生物の緑藻類と、原核生物のシアノバクテリアである藍藻類とがあるが、繁殖したのがどちらなのか分からないので、ここでは纏めて緑藻とした。)が繁茂して植物の発芽育成を阻害するので、これをなんとかしないといけなかった。
多分、この緑藻はピートモス(泥炭)の中で何千年何万年もの間生き長らえたものと思う。
そこで、先ず未使用のピートモスとココナッツを1:3で混ぜ合わしたものを湿らせて、厚めの黒ゴミ袋に小分けして入れて、一日中炎天下の台に置いて熱で緑藻を殺すことを試みた。
一日に二回上下をひっくり返し、それを5日間続けた。炎天下の季節で、ゴミ袋は触れないくらい熱くなったし、中の培地も多分60度以上になっていたと思う(測ってない)。
こうして消毒した培地の上に96番の種を1000粒蒔いた。
3月25日
蒔いた培地は、清家な飲料水を入れた殺菌済みトレーに入れて、風で藍藻が入らないように蓋をして様子を見た。

ちょっと見えにくいが、これくらいの密度で蒔いた。
好光性なので培地は被せない。
4月3日


種を蒔いて9日目。かなり発芽して来た。まだ20%位か。
少し藻が発生して来た。完全に殺せてなかったのか?
4月6日


ヤバイ! 藻が大発生して来た。3割くらい発芽したが、まだ7割が発芽前。救えるだろうか。この藻を取る方法を調べたが、藻は殺しても植物は殺さない方法は見つからなかった。
僕が1日農園に行かなかった時に、下の水が枯れかかり、住込みワーカーが親切にも、トイレ用に溜めた藻入り水を足してくれたのが、急に藻が増えた理由かも知れない。
4月18日


超キモイ。藻が大繁殖。カビもいっぱいに。
もうこれ以上おいても新たに発芽出来ず、またカビで枯れてしまうので、これにて植え替える事にした。
せっかくの5日間の熱消毒の効果は殆どなかった。数千年以上生き残った緑藻を甘く見た。


トレイに植え替えた苗。
結局、取れた苗は135株。種からの打率13.5%。
植え替えた培地はもう消毒しても意味がないので未消毒。
やっぱり藻にやられた。ここ迄に三週間も経っているので、この方法では緑藻類を完全除去しないと駄目だ。
恐るべし緑藻類。

そこで、第二弾。
最初にゴミ袋で消毒を試みた培地が余っていたので、それを鍋に入れて、水道水を加えて30分煮た。
つまりは100℃で30分間パスツライズした。
細菌の胞子だと、これ位じゃ死なない奴も居るが、緑藻類は生き残れないだろう。もしかすると数万年間も泥炭の中で生き残った藻だから、60℃如きじゃ死ななかったかも知れないが、流石に100℃では生き残れないでしょう。
4月10日 第二弾開始


100℃30分間煮た培地に種を1000粒蒔いた。
4月21日


種まき11日後。大分発芽した。40~50%位か。ただ、根が出かかっている種も入れると7割くらいになる。
まだ緑藻は発生していない。上記のゴミ袋滅菌では12日後に発生していたので、明らかに改善している。
自分では、熱湯消毒で緑藻は生き残れないと思うので、このまま緑藻の発生はないと思っているが、油断はできない。
トレイに植え替えた頃に続編を報告する。