年をとると記憶力が低下することは誰でも知っているが、自分の記憶力の低下ぶりには嫌気が差してくる。記憶力を数字で表す方法はよく知らないが、多分20代の50%程度まで落ちているのではないだろうか?
例えば、2時間勉強して新しい単語を50個覚えたとする。
20代なら翌日80%は覚えていると思うが、僕の場合は40%しか覚えていない。20%は覚えたことすら覚えていない。読み方すら分からない時がある。残りの40%は、思い出せなかったけれど部分的に覚えていたか、スペルを間違えて覚えていたかだ。(というよりスペルを覚えていないといった方が正しい)
何とかして覚えなきゃ仕方がないので、もう一度1時間掛けて覚えたとすると、今度は60%覚えている。更にもう一回すると70%。数字が上がらないのは、覚えたのに忘れてしまう単語が出てくるからだ。なんとか頑張って90%位は覚えたい。
そういえば、中学で英語を習い始めた頃、すぐに覚えられる単語と、なかなか覚えられない単語があったことを思い出した。タイ語の場合も同じだ。すっと頭に入らなかった単語は何度やってもなかなか頭に入らない。上手い具合に語呂合わせで覚えようとするが、そういう単語は大抵語呂合わせの言葉も見つからない。何度も発音して書けばその時は覚えられるが、意味と結びついていないので、後で思い出すことが出来ない。すぐに覚えられる単語と、なかなか覚えられない単語がある理由は、よく分からない。それが分かれば工夫のしようもあろうものに。

ちょっと調べてみると、「記憶とは、「記銘」、「保持」、「想起」の3段階から成り立つとされており、「記銘」機能により覚え込み、「保持」機能で維持し、「想起」機能によって思い出す。」とある。
僕の場合、この内の「想起」機能が特に低下しているようだ。先生が話した単語を聞いたときは意味がすぐに分かるが、自分からは思い出せないとか、よく知っている単語の発音を聞いたのに、その時はその単語が想起されなかった、ということがよくある。
40代の頃から、仕事仲間の人の名前がなかなか思い出せないことがあった。50代でそれがひどくなった。60代の上司では僕よりもっとひどい人もいた。その人の顔や性格はしっかり覚えているのに、名前や会社名が出てこない。一旦思い出せれば後は問題ないのでが、思い出せないまま話を進めないといけないときは心落ち着かなかった。
単語の場合も、同じような気がする。なんとか「想起」しやすいように、語呂合わせや何か具体的なもののイメージと結びつけて覚えることができたらいいのにと思う。
タイ語の文章も、クラスメイトはスラスラ読めるのに、僕は上手く読めない。どうして読めないのか考えて見たら、それは単語をしっかり覚えていないからというのが一番大きいいことに気がついた。なぜなら、しっかり覚えていて慣れた単語だけの文章や文節は、僕でもスラスラ読めるから。つまり、文章は一文字づつ読むのではなくて、パッと見て該当する単語を想起し、想起したその単語を発音するのではないだろうか。日本語でも英語でも同じように読んでいるように思える。
とすれば、やっぱりもう少ししっかり単語を覚えるしか、この状態を抜け出すことはできないだろう。
こんな苦々しさは、若い人には分からないかもね。
クラスメイトの中国人に話したら、
「歳を重ねて、人生の大切な経験や記憶がすでにいっぱい頭のなかに入っているから、仔細なことはなかなか覚えられないんだと思う。」と言っていた。優しい言葉だと思った。

Topic : タイ・バンコク
Genre : ForeignCountries