生贄を捧げた日2
昨日は大御所兄貴のいちご園にて、生贄を捧げる宴会に参加して来た。
但し、昨日の生贄は豚じゃなくて牛。
100kg以上ありそうな仔牛だった。
牛と言っても、タイで良く放牧されている耳が大きくて褐色の痩せ牛で、価格は8000バーツだったそうだ。
以下、かなりエグいがいくつか様子を紹介したい。
これが生贄の仔牛
屠殺の前に土地の精霊に祈ります。モン語なので何言っているのか全然分かりません。
大きな金槌で頭を打って、頭蓋骨を陥没させ意識不明にしてから、太刀で頸動脈を切って鮮血を受ける。
皮を剥ぐ。
内蔵の中で一番大きいのは胃袋。
内蔵を取り出すと、胴体部分に余り肉はない痩せ牛だ。
肝臓を取り出しているところ。
赤身と鮮血を混ぜ、包丁で良く叩いてラープを作る。牛のラープは豚のより美味。
香辛料をたっぷり入れて良く練って出来上がり。
日本では禁止されている肝臓の刺身。
コリコリでめっちゃ美味い。
出血性の毒性の強い腸内細菌が10%位の確率で肝臓から検出されるらしく、微量の細菌でも重大な食中毒になる恐れが排除出来ないそうで、ニホンでは禁止となったが、これ程美味いものは滅多にない。
僕は大昔に西表島でハブに噛まれて弱った牛から得た肝の刺身を食べたことが一度だけある。その旨さが忘れられず、昨日もたっぷり食べてしまった。
見た目は綺麗な肝臓だったが、生食すると出血性の下痢の他に、肝臓に寄生虫が付くこともあるので、お勧めは出来ない。
火を通せば大丈夫。屠殺直後、焼き立ての牛肉はめちゃくちゃ美味しい。
ステーキも沢山食べた。柔らかくて臭みのない美味しい肉だった。
先日の豚と今回の牛とで、冷凍庫は肉でいっぱいになった。当分、肉は買わなくても済みそう。
ところで、兄のいちご園は今年も不調だった。欲張って三ケ所開園したが、二箇所はお客さんが入らず、早々に開店休業になってしまった。残り一箇所もライバル農園に押されて売上は低迷。もう来年はワンナムキアオではやらないそうだ。但し、トマトを雨季にやるらしい。
5年前、この兄がワンナムキアオでいちご園を始めた。その時、マシュマロちゃんが手伝いに駆り出された。
4年前、僕らはその給料とノウハウで自分達のいちご園を持った。その時、妹さん夫婦が手伝いに来てくれた。
3年前、妹さん夫婦は僕らが払った給料と観光いちご狩り園のノウハウを持って、自分達のいちご園を開園した。僕らもカオヤイに2軒目の農園を開園した。
こんな風に兄からすべて始まり、今ではマシュマロちゃん家族以外にも多くのモン族によるいちご園が出来た。
5年前は、この地域では、いちご狩り自体が未だ珍しかったが、今ではかなり知られるようになり、お客さんの殆どがいちごを買いに来るのではなく、いちご狩りを楽しみに来るようになった。
そんなパイオニア的な兄が競争に負けて去ってゆくのは複雑な思いだ。
僕らは彼に50万バーツ超貸してあるので、出来るだけの支援と言うか恩返しはしたつもりだ。
兄には、別の場所でいちご狩り園を始めて成功するのを祈るばかりだ。