今日から別居
住込み従業員の為の掘っ立て小屋がカオヤイ農園に完成し、今日からそこで寝泊まりしてもらう事になった。
僕としては、不便な掘っ立て小屋での生活よりも、この家での生活の方がよっぽど快適で便利と思うので、今まで通り家で生活して、早朝だけ早く農園に行って鳥を追っ払ってくれれば良かったのだが、マシュマロちゃんに言わせると、それより農園で寝泊まりした方が楽とのことだった。
問題は寝泊まりする本人達の意向なのだが、意外にも彼らは農園での寝泊まりを選んだ。
本人達がそうしたいのなら、正直言って僕としてもその方が良い。
なにしろ、文化と教養が違い過ぎて、苛つくことしきりだった。ガキンチョは部屋でゲロばっかり吐くし、折角の僕の日本食手料理を18歳新妻から「こんなもん私は食べられない。」と言われてインスタントラーメンを食われるのも腹がたったし、夜中中、電気や扇風機(それも最大出力)を付けっぱなしで、扇風機は2台壊したのに自分で買おうとしないし、味がしないか超塩っ辛いかのどちらかの18歳新妻の不味い手抜き料理にもうんざりしていた。皆で囲う食卓くらいタイ語で会話しろと言ったのに、訳の分からないモン語しか話さず気に入らなかった。
はっきり言って、一緒に暮らしたくなかったので、今日からは別居が始まって、すっきり清々した。
おそらくは、彼らも同じことを感じていたのだろう。
今までの住込み労働者ともそうだったが、だいたい2ヶ月くらいでお互い嫌気が指してくるようだ。
掘っ立て小屋に電気配線と照明を付け、鍋やお皿や包丁を半分持たせ、お釜やベッドマット、洗濯を干すハンガーまで分け与え、小型のプロパンガスコンロにお米15kg買い与えて手厚く見送ったつもりなのに、
「テラスの照明はどうしてないの? これじゃ暗くて料理できない。シャワーは何処で浴びるの?」
と言った調子。
凡そタイ人に優しくしても、感謝されることは滅多になく、つけあがるのみなので、少し悲しくなる。
これも文化の違いなんだろうけど、もう少し遠慮と感謝があっても良いと感じる。
まあ、これでより一層働いてくれさえすれば文句ないが、どう転ぶかは僕には予測出来ない。
お店の冷蔵庫や飲み物類を好き放題に使って、店の周りに汚い洗濯物を干されるのが目に見えたので、
「商品を勝手に使うな。とにかく清潔に暮らして、お店の周りを汚くするな。」と念を押しておいた。
ピー(幽霊)が出たとか、ヘビが部屋に入って来たとか、寒くて寝れないとか言っても、もうこの家には戻らせない。
こんな掘っ立て小屋だって、1万バーツと丸2日の労働時間を費やしたのだから。