雨+汚職=道路の穴
タイの田舎の舗装道路は穴だらけ。
大抵は貧しい村を結ぶ通行量の少ない道か農道。
穴と言っても馬鹿にできない。半球状で下手するとタイヤの半径よりも深く、一般乗用車は通れなくなるほど。
日本では滅多に見られないけど、時々大都市で水道管破損などが原因の道路の大陥没がある。その程度だが、タイの田舎道は穴があるのが普通。
ここは未だ序の口。
どうして道路に穴が開くのか?
薄いアスファルトの割れ目から雨水が入り、下の土を溶かして流れ去る。するとアスファルトの下に空洞ができ、それが成長する。
直径10センチ深さ5センチくらいになると、薄いアスファルトが陥没して穴が開く。
10センチくらいなら問題ないが、穴には水が溜まりますます土が溶かし去られ、どんどん成長する。どれもきれいな半球状。
直径1メートル深さ50センチくらいになると車にとっては脅威だ。不用意に時速20km以上で通過したら、車軸が曲がるか、パンクするか、タイヤが宙に浮いて動けなくなるか、激しい揺れで頭を天井にぶつける羽目になる。
物理的には、確かに穴は雨水によって作られる。
しかし、タイ人の友人にどうして道路がこんなに穴だらけなのか聞いてみたら、面白い答えが返って来た。
「道の穴は、汚職によって作られる。」
直ぐには意味が分からなかったが、こういうことだ。
例えば、ある道路の舗装整備に一億円の予算が付いたとする。これを優良業者が受注して、業者は7000万円の経費を掛けて舗装工事を行い、3000万円の利益を得るとする。普通はこれで穴の開かない立派な道路が出来る。
一方、悪徳業者は3000万円ケチって4000万円で手抜き工事を行い、6000万円利益を得たいと思ったとする。しかし、タイでも当然お金を出す国や自治体がちゃんと工事が正しく施工されたかチェックする。
そこで、道路を管理するお役人とグルになり、お役人に1000万円の賄賂を渡し、大目に見てもらう(虚位の報告をしてもらう)。
賄賂で1000万円利益が減るが、悪徳業者は5000万円儲かるからハッピーハッピー。給料だけでは中流以下のお役人も、こういう美味しい話があるからやっていける。(仮定の話です)
手抜き工事で、肝心の道路の下地ならしはいい加減。安い砂利を少し敷いただけで、アスファルトは厚さ1センチか1.5センチしかない。
こうして、雨が降る度に立派な穴が開く道路が出来上がる。
穴の場所をアスファルトで埋める応急措置を施しても、雨期だとたった2週間で元の木阿弥の穴だらけになる。
そんな道路は、穴を避け避け徐行運転するしかないのだが、ところどころ大きな穴が融合していて避けられず、道路なのに通れない道になることがある。
ピックアップのハイランダーならなんとか。コンパクトカーじゃ無理。車体の低いスポーツカーだと笑っちゃう。