ホワイトアロー号壊れる
このところ中古モトサイのホワイトアロー号のエンジン音が少し変で、何処か調子が悪いらしい思っていた矢先、住込み労働者の17歳の妻がマンコが痒いと言ってパクチョンの公立病院まで一家三人で出かけた途中、遂にエンスト、二度とエンジンがかからなくなった。
その為、可哀想に彼らは病院には行けず、痒いマンコとクソ暑い日照りの中、一時間半もかけてモトサイを引きずって修理場迄運ばなければならなかった。
そのことを数日間聞いてなかったので、どうして僕のモトサイが無いのか詰め寄ったら、そういうことだった。
「馬鹿野郎、人の物を壊して知らんぷりかよ!」と最初は思ったが、汗だくで救急病院までホワイトアロー号を連れて行ってくれたことを聞いて、責めるのは止めた。
今日、パクチョンに用事があって行ったついでに、その修理場に寄って話を聴いてみた。
ホワイトアロー号は既に分解されていて、心臓が剥き出しになっていた。
分からないタイ語での会話で何とか分かったことは、エンジンオイルが全く無くなって、エンジンが焼け付いたらしい。
ピストン、リング、シリンダー、カムシャフト等、焼けた部品は全部取り替える必要があり、修理見積もりは2500バーツだった。
日雇い労働者では修理は頼めないので、ホワイトアロー号が分解されただけだったが、話を聞いた後に僕がゴーサインを出して、部品代2000バーツを払ったので、明日明後日で修理される運びとなった。
心臓移植手術にしては安いと思ったが、本当に2500バーツで収まるかどうかは未だ分からない。
もしも5000バーツ以上掛かるようだったら、別のオートバイを買った方が良かろうと思っていたが、2500バーツで心臓移植出来て、以前よりも走りが良くなるのだったら有り難い話かも知れない。多分、日本じゃ出来ない話だろうと思う。
エンジンオイルのチェックなんて、完全に頭の外にあった。たまにはオイル交換が必要なことは知っていたが、空になるとは想定外の話。買ってから一度もオイルチェックなどしてなかった。
どうしてエンジンオイルが空になったのか、修理屋の技術者に聞いてみたら、少しずつ燃えて減っていったのだろうとのこと。漏れてた訳じゃないらしい。
この頃は、僕はホワイトアロー号を使うことは滅多になく、もっぱら住込み労働者夫婦が買い物に使うだけだったが、それでもないと困る道具になっていた。僕らが所用で車を使って不在でも、住込み労働者はホワイトアロー号で農園に出勤出来るので便利だし、農園でトイレに行ったり、ラムタコーンという沢の水量やポンプのチェックに行くのにうってつけな存在だった。
マンコが病院に行けなかったのは無念だが、症状から単純ヘルペスに決まっていて、あまり効果的じゃないアシクロビルを飲む位しかやることがないので、行ったとしてもあまり恩恵はなかっただろうと勝手に思っているが、ホワイトアロー号が直ってもマンコが治ってなかったら、きっとまた病院に行きたがるだろう。
さっきも、
「舌の横が痛いので良い薬ないか」と聞かれ、
「あるけど飲んでもパッと治る訳じゃないから飲まなくても良い。」と答えておいた。
「あまり効かないんだったら、2錠か3錠飲んだら効くんじゃないの?」
というタイ人らしい発想。
まさか診てくれとは言われないと思うが、もし云われても見たくないので断ることに決めている。僕の口に伝染ると嫌だから。
話が逸れたが、僕はホワイトアロー号が早く退院して戻って来るのを祈っている。