いちごハリボテ大作戦
いちご園に飾るでっかいいちごのハリボテが欲しい。
理想のイメージはこれ。
これは2年越しの願望。
去年、マシュマロちゃんに作ってくれと頼まれて、いろんな方法を探り、1年以上に渡って時々眠れなくなるほど考えた結果、「僕には出来そうにない」と諦めた。
勿論、専門業者に頼めば出来る。グラスファイバー製で、かなりリアルで美しい物が出来るし、一度型が出来たら複製は楽なので、数多く作るのには向いている。
だけど値段が高過ぎた。特に去年はお金が足りなくなって出来なかった。
マシュマロちゃん曰く、
「骨格さえ作ってくれれば、あとは私が作れる! 学生時代にも作ったことある。」
「えっ! あの仮装行列で作るみたいな安っぽいハリボテか!?」
僕も針金で作った骨格に紙を張って色を塗ったようなハリボテは作ったことがある。しかし、雨に濡れたらおしまい。寿命は数日。表面はデコボコ。小学生の図画工作みたいなハリボテは、一番最初に考えて、則ボツにした方法だ。
ハリボテでも、塗り壁材や粘りのある特殊セメントをたっぷり塗って、その上に耐水性の塗料をたっぷり塗って仕上げれば、もう少しマシなのが出来るかも知れないが、こんどは骨格の強度が問題になる。鋼鉄でしっかり作れば強度は出るが、重くなり過ぎて持ち運び出来ないと不便だ。
今年になって、マシュマロちゃんのアイデアは怪しいけれど、工夫しながら試行錯誤でやってみれば、ないよりはマシなのが出来るかも知れないと考えるようになり、最近知り合いなったボロ鉄鋼場の気の良い頭領に、いちごハリボテの骨格の制作を依頼してきた。
条件は、
大きさは背丈位。
強度は必要だが、重くなり過ぎないこと。
材料はおまかせ。
鉄鋼場の頭領は、僕らのアイデアを聞いたあと、腕を組んで考えた挙句、
「やったことはないが多分出来る。やってみる。」と返事を得た。
それから4日経っても全然作る気配がないので、どうしたものかと思っていたら、
「いちごの型だけど、本当に作って欲しいのか?」という電話がかかってきた。勿論、作って欲しいと答えたら、一度見に来てくれと言うので、電話を切って30分で鉄鋼場に行ってみたら、既に骨格の骨格が出来ていた。
重過ぎることなく、型もしっかり保たれているが、押せば少し歪むので、貼る塗り壁はある程度柔軟性があることが必要そうだ。
「ここ迄で幾らだ?」と何度聞いても、
「幾らかなあ? 全然分からんなあ」と笑っている。
僕としては期待以上の出来映え。マシュマロちゃんも満足げ。
でも、これじゃ何も貼れないし塗れないので、去年買って使わずにとってあった細い金網(1 x 50メートル)を鉄鋼場に持ち込んで貼って貰うことにした。柔らかい金網だが、いちごの曲面に貼るのは難しそうだ。
細く切って、リンゴの皮剥きのようにぐるぐる巻いて貼ったらどうだろうと提案すると、また腕を組んで暫く考えた末、
「うん、やってみる」ことになった。
「安くて気に入った物が出来たら、10個作って欲しい。」と言ったら苦笑いした。嬉しいのか迷惑なのか分からない。
さて、この先、夢のいちごハリボテは出来るのだろうか?
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