夫婦喧嘩

カオヤイ農園に住込みの夫婦が、このところ仲が悪く、喧嘩が絶えない。数週間前、怒った旦那が田舎のメーホーソンに帰ると言って、一人で乗合バスを待った。残された妻子は泣いて見送ろうとしたが、どういう訳かバスが来ない。30分経っても来ない。

その内に熱が冷めたのか、諦めたのか、帰らずに店に戻ってきた。

旦那は、

「あいつ(妻のこと)は性格が悪くて嫌いだ。だけど、子供が可哀想だと思って帰るのをやめた。」と言っていた。

その2週間後も、些細なことから大喧嘩になった。

喧嘩中、モン語とタイ語で話の内容は良くは掴めなかったが、相手のプライドをズタズタにするような言葉を吐き合っているのは分かった。「それを言っちゃあいけないよ」、そばで聞いていて思った。ここ迄来たら、本当に終わりかもなとも思った。

思った通り、夫は出て行った。今度はタイミング良く乗合バスが来たので、本当に行ってしまった。

「あんた今日からお父さん居ないのよ。」と子供に説明する母は少し寂しそうだったが、口では、

「あんな人、居なくなってくれて本当にサッパリしたわ。一人の方がよっぽどマシよ。」と強がった。

しかし夜になると、男無しでいちご園で寝るのは怖いと言い出した。泥棒や悪い人が来たら、女子供では対応できないと言う。

もう一人の22歳おかめ女子も、危ないから夜は僕の家で寝せてあげてと言う。

そう言われても、寝る部屋はもう無いし、店で寝泊まりしてもらうことで、泥棒避けになるし、毎夜いちいち商品を片付けるのは面倒なので、僕は首を縦に振らなかった。

「以前、田舎に帰りそうになって帰らなかったときがあるだろう。あの後、どうして帰るのをやめたのか聞いてみたら、子供が可哀想だったからと言っていた。だから、今回もすぐに帰って来ると思うよ。今頃は、パクチョンのカラオケできれいなお姉さんと一杯呑んでるじゃないかなあ。一晩飲み明かして、明日にはひょっこり帰ってくるかもしれないよ。」

結局、その夜は妻子でお店に寝泊まりしてもらった。

翌朝、昨夜は良く眠れたかと聞いてみると、

「良く眠れたわよ。」と言って向こうを指差した。

そこに旦那さんが眼を腫らして立っていた。

「昨日、あなたが言ったとおり、夜遅くに帰ってきたわ。」

そう言って彼女は涙目になった。

夫婦喧嘩なんかで仕事を放棄されたらたまらんなと思っていた僕も、その顔を見て急に眼が潤んだ。

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一件落着

一件落着で良かったですね。

でも、ハムケンさんのところで22歳女子を寝かせるのは、さすがに危険ですよ。
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サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった50代親父。

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