続かない労働者と新しい住込み女23才
正月元旦から9日まで、マシュマロちゃんと小学校から高校までずっとドミトリーで同室だった幼なじみが手伝いに来た。去年、カセサート大学の農業フェアに出展した際に手伝ってくれた人だ。物売りが得意で、一日中お客さんに甲高い声で声掛け出来る。
その人は、別れた男の子供を田舎の母親に預け、マレーシアのクアラルンプール近くの街に出稼ぎに行って、年末に帰ってきたところだった。マレーシアでの仕事は、フェイスブックにアップされたエロそうな女集団と一緒に生活している写真から推察して、多分エロマッサージ系の仕事だと思う。
期待通り、彼女は良く働いてくれた。幼なじみと言うことで、住込み夫婦よりも遥かに信用度が高いので、売上金の管理を頼んだ。
そしたら妙な事が起こった。今まで住込みで働いていてくれた若夫婦が働かなくなり、辞めて帰ってしまった。というより、幼なじみの彼女によって辞めさせられたのかも知れない。変な話だが、僕はさっぱり状況が理解できないままだ。
以前は買い物も必要最低限でトンボ帰りで戻って来たのに、新年になってからは、仕事を抜け出して一時間半も買い物に行った。ノルマのいちごの葉ガキは、以前は暑い中一日中出来たのに、彼女が来てからはずっとショップ内でおしゃべりしていて、やっと農園に出たかと思ったら一時間で切り上げて帰ってきた。
3日の日は、僕とマシュマロちゃんはカオヤイ農園を彼女に託して、二人でワンナムキアオのマシュマロいちご園に出かけたので不在だったのだが、ボス不在のその時に余りにも仕事をしないので、助っ人の彼女は
「高い給料貰っているのに、それでちゃんと働いていると言えるの?」
と言ったらしい。若夫婦の歯抜け妻は、
「あんたは幾ら貰ってるわけ?」と聞き返した。
「私は幼なじみだから、手伝ってるだけ。お金のためじゃないし、もうお金はあるからいいの。一日300バーツも貰えば十分だし、貰わなくてもいい。」
自分のバイクに仕事用に買い置きしてあったガソリンを入れたので、幼なじみは、
「それって、仕事の為に買ってあるガソリンでしょう? どうして自分のバイクに勝手に入れるわけ?」
と問い正した。
それで気を害したのか、或いはお金の管理を幼馴染がしだしたので、自分たちが信用されてないと思い頭に来たのか、その日住込み夫婦はバイトの女子高生とつるんで午後二時半に帰ってしまった。マシュマロちゃんの友人は、たった一人で僕らが帰るまで店を切り盛りしなくてはならなくなった。
そういった一連の様子を聞いて、マシュマロちゃんは
「もうあなた達は来なくていい。」と言うメッセージを送ったか、または幼なじみに言わせたようで、住込み夫婦はその夜に荷物をまとめて帰ってしまった。
年末に車を買いに行ったときに、やもなくその夫婦にお店を任せたが、売上金といちごの売れた量から勘算して、ほぼ確実に6000から8000バーツを売上金から盗んでいる。気付かないとでも思ったのか知らないが、初めにあったいちごから売れ残ったいちごを引けば、他には何も売れなかったとしても、最低限幾らの売上があるはずか分かるものだ。
当然、マシュマロちゃん激怒。
「もう、あの人たちは使えない。学生アルバイトともつるんでる。」
しかし、確たる証拠はないし、そのときは車の新調でそれどころではなかった。それに、新年の忙しい時期に彼らの助けは必要だったので、様子を見ることにしたのだった。
しかし、どうもシックリこない。
色黒歯抜け巨乳新婦は、物売りが上手で、大きな声と軽いフットワークでよく売ってくれた。それこそ、身を粉にして必死で売ってくれた。
大晦日にはカオヤイで一日で10万バーツを売ったが、その7割を彼女が売ったと言ってもいい。
売るだけじゃなくて、僕のやり方に修正を加えて改善をしたり、提言もしてくれた。
若旦那の方は、僕が言ったことに素直に従って何でもやってくれた。
それなのに、どうしてお金を盗んだり、急に働くのを辞めてしまうのか。そこが不思議で理解できない点だ。
ただ、面白い共通点を見つけた。
以前、モン族の住込み労働者が職場放棄して首にしたのは、今回辞めた(辞めてもらった)新しい住込み夫婦が来た日だった。売り場をチェンジして新しい住込み夫婦に任せた。
それがプライドを傷つけたのか、或いは信用出来ないと思われているのを察して怒ったのか、或いは盗みがバレたと察して居られなくなったのか?
モン族の住込み夫婦を追い出した新しい住込み新夫婦が急に働かなくなったのも、幼なじみが来た時からだ。
そういえば元社員もそうだった。僕の会社の為によく働いてくれたし、積極的に改善提案もしてくれた。それで気を信用していたのだが、累積してかなりのお金を横領した。彼女が失踪したのは、マシュマロちゃんが引っ越して来た時から間もなくのことだった。
こういった共通点から単純に推察すれば、
仕事はちゃんとする。
現金を見ると理性が効かずネコババする。
新たな労働者が自分より上の立場で来ると、ネコババがバレたと思い逃げる。
と言うことか?
話を戻して、マシュマロちゃんの幼なじみは、カオヤイで働く人が居なくなり僕一人になってしまったので、バンコクに帰るのを数日遅らせて仕事を手伝ってくれた。彼女はバンコクで用事を済ませてから、またマレーシアに出稼ぎに出る。だから、カオヤイで物売りや農園を世話する労働者が至急必要になった。
そして、どう言う風の吹き回しか知らないが、チェンマイの天空の村から、23歳の未婚の女が住込みで来てくれることになった。カオヤイの部屋に、帰っていった新夫婦と入れ替わるかのように。
前情報では、色白で23歳の未婚、マシュマロちゃんと同じラングシット大学をこれまた同じクイーンファンデーションで卒業したという。実家はいちご園をやっていて、いちごの世話は出来る。物売りも、野良仕事も平気らしい。
夜になれば毎日のようにマシュマロちゃんが帰って来るとはいえ、僕とその若い女の二人だけでカオヤイの貸家に住む訳で、何か良からぬ、いや宜しいハプニングが起こるのではと心配(期待)したが、実物を見た瞬間、その妄想は吹っ飛んだ。
若くて色白なのは事実だが、、マシュマロちゃんが心配しないわけだ。
その女が来た翌日、幼なじみはバンコクに帰って行った。
天候もおかしく、珍しく雨降り。