花のピラミッドの現状
去年の僕の自慢作、花のピラミッドは、今黒い骨格をさらけ出し、惨めな姿になっている。
一つは取り壊し、もう一つはペンキを塗り直してサフィニアのピラミッドにすることを考えていたが、マシュマロちゃんの独断で変わってしまった。
まず、壊れかけていた片方のピラミッドは、取り壊しではなく修復した。
足が腐って、こんな風に傾いてしまって修復不能と思っていたが、住み込み労働者は足を付けなおして見事に修復した。
修復して見ると、人間が登ってもびくともせず、まだまだ使えそうだった。
取り壊しを止めて、修復することに同意したのには理由がある。
- 頂上付近に野鳥が巣作っていて、雛が育っていた。
- 西洋朝顔を這わせれば、良い花の塔になるというアイデアが浮上した。
- 取り壊したとしても、代わりに作るもののアイデアがなかった。
確かに、西洋朝顔ならピラミッドを埋め尽くすほど成長して、長く咲かせることだろう。手間も掛からないし良いアイデアだ。
しかし、僕が納得したのは主な理由は1。
随分前から住み込み労働者に取り壊すように指示していたのに、取り壊してないので、理由を聞いたら、これを見せてくれた。
野鳥の雛は簡素な巣の中で2羽元気に育っていた。
覗いてみると、ちょうど羽が生えてきているところだった。
雛は茶色で目立たないが、成鳥は白い鳥だと労働者は言った。
僕の興味を引いたのは羽の生え方。以前から不思議だった。
もともと鱗だったはずだが、あのようにふさふさの羽がどのようにして皮膚から生えてくるのか、よく分からなかった。
今回、はっきりと分かった。
こんな風に筒状の袋に包まれて生えてきて、それが跡で破れて、羽毛が拡がるのだった。
もしかして、何処かで習っていたかもしれないが、こうして実物を見て改めて納得。
羽ばたく時、付け根の皮膚が痛くないのだろうかと余計な心配までしてしまった。
こいつらが飛び去る前に取り壊してしまうのは気が引けた。
こんな風に、いつも優柔不断に僕の計画は変わってゆく。