日雇い労働者
カオヤイに引っ越して来て数日後、僕達の借家のあるソイ(脇道)に入らずに、そのまま車を走らせたら一体何処に行くのだろうと思い、ちょっとした探検ドライブに出てみた。
僕達の街から出ると、田園地帯が広がっていた。美しい田園風景だが、キャッサバや飼料用コーンが主体の畑が多い。しかしラムタコーンに近いところでは、ウォーターシステムが完備されていて、より高く売れそうな野菜、例えばトマトやサラダ菜が栽培されている畑もあった。
「私達にもこんな畑があったら良いわねえ。」なんて話していた畑が、クボタの耕運機で畝を作ってもらった元医師が借りていた畑だった。借り主は医師のくせに血圧も計ったことがなかったそうで、去年脳梗塞をやり、畑仕事は出来なくなったので、来年の三月で賃貸契約を終了するところだった。
その医師の夫婦が、「もしあなた達が借りたいなら、オーナーに話して引き継いであげるわよ。」と言うので、改めて見に行くと、40ライの肥沃な土地にウォーターシステムが張り巡らされていて、敷地に接して豊富な水量のラムタコーンが流れていた。
賃料は、1ライ1年2000バーツ。40ライでも80,000バーツで、僕達が借りたカオヤイ新いちご園よりも安い。ただし、ウォーターシステムは買い取りとなり、それが250,000バーツということなので、合計33万バーツにもなるため断念するしかなかった。
その畑を更に進むと、急に貧しい部落のようなところに迷い込んだ。
犬やニワトリと一緒に人間もぼーっとしているような一角だった。
住んでいる家もかなりのボロ屋。
一軒だけ、汚い駄菓子屋があって、その周りに人が彷徨いていた。
その街は雰囲気が暗かったので、早々とUターンして帰った。
1週間前、僕たちは日雇い労働者が欲しくなった。しかし、何処でどうやって日雇い労働者を集めればよいのか分からない。とりあえず家のオーナーに話してみたが、家と食事付きが条件のミャンマー人夫婦以外には、すぐには当てがないとのことだった。
そこで翌朝、その貧しそうな部落に行ってみた。日雇い労働者の供給源は、貧しい部落と決まっているから。
すると一発成功!。翌日から数名の日雇い労働者を確保することが出来た。
日給320~350バーツ。
朝、7:40分に部落に迎えに行って、日雇い労働者を荷物のように荷台に乗せて運んでくる。
炎天下の中を一日中鍬を持って働く日雇い労働者たち。
適当に休み休みやっているが、7割方は働いているので大したものだ。
彼らのおかげて、三日間で畝が出来た。
今日は5日目だが、いちごを植えるビニールポットが25%ほど準備出来た。
イサーン訛りの早口なので、何言っているのか分からない。僕の話すタイ語もほとんど通じないが、言われたこと以外に気付いたことを積極的にやってくれている。
毎日7~10人雇っているので人件費が痛いが、僕らだけでは進められないことなので出費は仕方がない。
アルコールと煙草でイカれた中年の親父やババアは使いものにならないが、それに付いてくる10代の若者が頼りになる。女が7割だが、野良仕事でも女の方が良く働く。
日雇い労働者は大切なので、毎日、水と氷と一本10バーツのM-150またはスポンサードリンクをサービスしている。今日はスイカを二玉差し入れした。
水は一日20リットルも消費する。氷は4ー8kg。大変な作業なのだ。