溜池拡張計画
いちご園で一番心配なのが、水がなくなってしまうこと。
カオヤイ新いちご園には溜池があるが、何故が殆ど水が溜まっていない。水深は深いところで40センチ位。
ここに自然の川であるラム・タ・コーンの水を引いて溜池に貯めるわけだが、できるだけ多くの水を溜めたいので、溜池を掘って深くすることを決めた。
そこで、頼んだのがシャベルカー。タイ語ではマクロという。
一見、頼もしそうだが、これが実に頼りなかった。
まず、仕事を初めて30分で電気系統がショートしてエンジンが止まった。その修理に一時間半。
お昼から再度仕事を始めたと思ったら、今度はキャタピラーが切れた。キャタピラーは重く、人の手では持ち上げられない。キャタピラーは自転車のチェーンや腕時計の腕輪のような構造をしているが、そのシャフトの太さは直径4センチほどもある。修理場でなければとても直せないだろうと思っていたが、現場でこれを焼き切って、どこからか持ってきた古いシャフトで修理した。
外れたキャタピラーをはめるのは更に至難の業で、僕は絶対できないだろうと思っていたら、夕方になってシャベルを使って自分で見事にはめ直し、作業は再開した。タイの男達の意外な頼もしさを見た気がした。
ところが、2時間ほどでまた切れた。やっぱりにわか修理はダメだ。今度は急斜面で2箇所も切れてキャタピラーが外れたので、シャベルカーは完全に立ち往生。シャベルを使って尺取り虫見たいに斜面を這い上がったところで、本日の作業終了。シャベルカーってキャタピラーなくても、尺取り虫走法で動けるんだ!
翌日、別のもう少し新しいシャベルカーを出してもらった。
ところが、池の斜面の上からだと、湖底にシャベルが届かない。つまり深くすることが出来ない。斜面を途中まで降りて、なんとか一部分の湖底を所々50センチほど掘ることが出来たが、それだけでは意味が無い。斜面の急なところは降りられないし、ドロドロの湖底まで降りることは、キャタピラーのシャベルカーでも無理なんだそうだ(水がなくて土が乾いていれば可能)。
仕方がないので、今度は池の周囲を剥って、池の面積を拡げる作戦に変更した。
数時間格闘して、やっとこさ池の面積を1割ほど拡げられただろうか。
しかし、シャベルカーの時給は1時間1300バーツと高い。このまま続けても無駄と判断して作業を中止してもらった。派遣会社の機嫌は悪かったが、出来るというから頼んだのに出来なかった理由だから、キャンセルも正当だろう。
お金と時間を無駄にしただけのようだったが、副産物が役に立った。
斜面を削った時に出た土だ。これがトラック10杯分あった。
この土を道路と敷地の段差の部分に敷き、駐車場への出入り口を3箇所整備した。トラック一台4,500バーツと、小型のブルドーザー時給625バーツは掛かったが、土代はタダで済んだ。
この土地は、道路より70センチ程低くなっていて、普通乗用車でのアプローチに難があったが、これで問題なく降りて来られると思う。二箇所あった出入り口も合計4箇所に増やした。通り過ぎても、次の出入り口が使える。この点はとても重要。
水を吸うとドロドロになる土なので、このまま使えるかどうか分からないが、出入り口の基礎的な構造は出来た。
疲れた。ここに来て始めてローカルな飯屋で夕食を摂った。