激昂するタイ人
人間誰でも人生のうち数回以上は、頭に血が登って手足が震えるほど激昂することがあるだろう。
だけど我慢することにかけては世界一鍛えられている日本人の多くは、そんな時でも相手に致命的打撃を与えるような暴力を振るうことは抑制できる。
だけど、タイ人の多くはそういった我慢の訓練をあまりして来ていないためか、激昂すると何をしでかすか分からない。
普段は観音様のように温厚で優しい人ですら、切れると自分を抑えられない。
だから殺人や事故が多い。
もう三年ほど前の話だが、僕もかつて付き合っていた優しい女性から、さほど深刻とは思われない事案で激昂され、包丁を突きつけられたことがある。あの時の高揚した声、包丁を持った震える手、血走った目は今でも忘れられない。
タイに来て半年足らずの時だった。たった半年で、タイで女に刺されて死ぬのかとマジで自分を哀れんだ。
自分の身を守るためには、包丁を掴んて腹蹴りし、奪った包丁で女の手を刺すしかないだろうと思った。
しかし、1時間ほどすると女の感情が収まって、僕の身の代わりにパソコンを傷付けたことを誤った。
そればかりか、
「さっきはごめんなさい。私達これで終わり? もう私を愛すことは出来ないかしら? また会える?」
と泣きながら聞いてきた。
本当に殺されると思った僕の答えは、勿論ノー。
「二度と会いたくない。」だった。
僕の友人で、とても優しいタイ女性と仲良く暮らしていた人も、同じような目にあったそうだ。
普段は平穏で優しい女性なのに、時々激昂して手が付けられなくなる。大切にしていたものの投げつけてきて壊す。
数回「本気で刺されそうになった」そうだ。
その後、その友人は日本に帰国した。
マシュマロちゃんだって、激昂して手に負えなくなることがある。僕にとってはどうでもいいようなことで、独り勝手に悪いように解釈して激昂する。そして、不味いことに直ぐに行動に出る。流石に包丁は出てこないが、携帯を車の窓から投げ捨てたことがる。そういった行動が間違いだったといつも後で後悔するのだが、激昂している時はどうにもならない。
そんな時は説得しても無駄。事実を並べて矛盾を論破しようとしようものなら火に油を注ぐことになる。
そんな時は、たとえ100%相手が悪くても、理屈はどうでもいいから決して冷たくせずに、謝るところは誤って、二人の関係を大切にしたいという気持ちを表現するのが良い。女は感情の生き物。理性よりも感性、共感、ムードが大切。そうして、感情が収まれば、鳴いたカラスがもう笑う。感情が収まってから、激昂した時に起こそうとした行動が如何に馬鹿げたことだったがが初めて認識できるようになる。
タイ人は子供じみているとか、衝動的だと言って批判してみても何も変わらない。
自分の身を守るために、上手く振る舞わらないといけない。