いちご園のワンコ達
マシュマロいちご園には複数のワンコがいる。
別に飼っているわけではない。向こうから勝手に来て勝手に住んでいる。
年長組はこいつ。年長といっても多分2歳位の若いオス。
畑やゴミを荒らすのでマシュマロちゃんは毛嫌いしているが、好奇心旺盛で実に人懐っこい犬だ。僕のスリッパはいつもこいつが森の中に持って行ってしまう。赤子のうんこのついたおむつを食べるのが好きだ。何しろ栄養豊富でいい匂いがするから。
マシュマロいちご園には、プードルやペグなどの高級室内犬を抱いてやってくるハイソ客がいる。すると、この犬はその室内犬に興味津々で飛びついてお客さんと犬を困らせる。しかし、この犬を飼っているわけでもないので、何をしようが、こちらは知らん顔だ。
マシュマロちゃんは、ワンコを蹴ったり石を投げつけたりするので、ワンコの方もマシュマロちゃんのことが嫌いだが、僕には何故かよくなついている。時折、ワンコのほっぺたを殴ってやるが、腹を見せて大人しく服従する。
この犬が3週間前に交通事故にあった。車と激しく衝突して、大きな音を立てて20メートルも飛ばされたらしい。皆、即死したと思ったらしいが運良く生きていた。その話を聞いて、テーブルの下で静かにしていたワンコを呼んでみたら、顔は血だらけで実に痛そうだった。顔の皮が一部禿げていたが、肋骨や顔の骨や歯には異常はないようで、抗生剤と痛み止めだけパンにくるんで食わせたら、その時から僕には絶対服従になった。
人間は、部下でも親友でも恋人でも夫婦でも、絶対服従なんてことは絶対にないので、ワンコの絶対服従は気分がいい。こんな僕にも好意と服従を示してくれるのは、世界広しと言えどもワンコぐらいしかいない。
2週間くらい前からこの地に居着いたのが、このメスの子犬。まだ生後数ヶ月と思う。どこから来たのか分からない。始め、妙に臆病でなかなか近寄ってくれなかったが、尻尾はフリフリでいつも僕に付いて回る。僕が歩くと、その周りを嬉しそうに駆けまわる。何が嬉しいのかわからないが、犬は生まれついて人間が好きなようにDNAにプログラムされているのだろう。
僕はこの子犬が実に可愛くて、時折、鳥や豚の骨をあげる。多分こいつが生きているのは、僕からのタンブンによるものだろう。餌をあげても、前述の犬に取られてしまうので、始めに前述の犬に餌を投げてやって、それを食ってる間に、この子犬に餌をあげている。
マシュマロちゃんは、やっぱりこの犬が嫌いで、蹴ったくって追い払うので、僕とマシュマロちゃんが二人でいるときの子犬は、どうして良いのか分からず、近寄っては逃げ、逃げては近寄って落ち着かない。
最後は、まだ来てから一週間ほどしかならないこのメスの母犬。老犬で、乳首に腫瘍らしきものがある。
一日中寝ていて動作は鈍い。洗えば綺麗なんだろうが、毛は汚れていて臭いので、マシュマロちゃんはやはり嫌っている。
これらの犬たちの名前はない。あるかもしれないが知らないし、新たに銘々することもしない。
犬たちも色んな所を渡り歩いて、住みやすいところ、優しい主人を探しているのかもしれない。
僕の人生も同じだ。
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