忘れ物事件その2
今日、仕事が終わって夕飯でも食べに行こうと思ったら、財布が見当たらない。
オフィスのどこにも財布はないし、昼過ぎ以降財布を触った記憶もない。
最後に財布を使ったのは、近所のセントラルの中にある郵便局でEMS郵送のための箱を35Bで買ったときだった。お金を支払うとき、手荷物が多くて財布を受付のデスクに置いたかもしれないし、途中で落としたのかもしれない。
現金が2500バーツほど入っていた。どの場合にも、もう財布は出てこないだろうと思った。
現金より痛いのは、クレジットカードとATMカードだ。
どうも最近、大切なものを忘れるような気がする。歳のせいだろうか?
とにかK,最後に使った郵便局に行って確認してみることにした。なにしろ、郵便局には前科がある。
セントラル内の郵便局は夜8時までやっている。7時半に行った時、すでに担当者は交代していた。
「あのう、今日夕方前にここに来てEMSの箱を35バーツで買ったのですが、その後財布が見つからないんです。何か心当たりはありませんか?」
「女の財布ですか?」なんで女の財布なんだろう?
「いいえ、僕の財布です。色は赤ですけど。」
「ここにはないわねえ。前の人に聞いてみるからちょっと待ってね。」
そう言って電話を掛けて聞いてくれた。
電話ではどうも要領が伝わらないようで、僕に直接電話で話すようにと携帯を手渡された。
「さっき箱を買った日本人です。35バーツ払って帰ったのですが、その後財布が見つからないんです。」
「ああ、あの日本人ね。ないのは女の財布ですか? 現金は入っていましたか?」
「いいえ、男の僕の財布です。色は赤ですが。現金は3000くらい入ってました。他にクレジットカードとか。」
「IDカードはないのよねえ。クレジットカードが入ってましたか。それで、あなたの名前は何ですか?」
「ハムケン(仮名)です」
「あなたの名前はハムケンさんですね。はい、財布を預かっています。今日はもう自宅に戻ったので返せませんが、明日の朝お持ちしますのでセントラルに取りに来てください。朝10時に開店しますので。」
やっぱり郵便局だった。すぐにあると言わないところがなかなかすごい。
大切なものは郵便局に忘れるのと、郵便局はちゃんと預かっておいてくれることが分かった。
日本なら、大切なものがちゃんと出てくるのは当たり前だが、タイで出てくるとは思わなかった。
僕の悪運が強いのか、タイの民意が高まったのか、あるいは郵便局が素晴らしいのか?