住所変更
この辺りの人口増加は激しく、10年前は湿地だったところが今は住宅地になっている。そこで郵便局がこの辺り一帯の住所を再編成した。
数ヶ月前に新しい住所が通知され、数ヶ月以内に会社の住所も変更するようにとのお達しが来た。
しかし、これが厄介。
まず、この建物の所有者であるプーに、ここのタピアンバーンの変更をしてもらわないといけないのだが、
「なんで変更しなきゃいけないの?そんなのほっとけばいいのよ」と言って動いてくれない。
プーの自宅も変更の対象なのだが、そんな通知を受けてない、知らないと仰る。
数ヶ月経っても動かないので、アカウント事務所の人に説明してもらったら、やっと住所変更してきた。
市役所でもプーは、
「私、市役所に行って、なんで勝手に住所変えるの? 変えなきゃいけないの?もう変わったの? じゃなんで手続きしないといけないの? そもそも変えるメリットは何?」と質問攻めだったらしい。
「住所が分かりやくて簡単になるんだって。はい、これがあなたの欲しかったタビアンバーンね。」
しかし、ここからが問題。
縦割りのタイ行政は、別部門との連絡が非常に悪い。コンピューター情報の共有化が全く出来ていない。
なので、会社登記書は商務省に、社会保険は保険省、付加価値税は税務署に、それぞれ別に住所変更の手続に行かないといけないのだ。
しかも、そのためにはいちいち数多くの書類を用意しないといけない。
はじめに商務省に行った。会社登記書の変更やコピーを取るために何度も行ったことがある。
しかし、どうしたことか、
「住所変更はノンタブリ県の役所で行ってください。」と門前払い。今まで何度かここで登記内容の変更をしてきたのに何故?
タクシーを往復20kmも飛ばしてノンタブリ役所に行き、登記書は変更できた。
ついでに同じ敷地内にある社会保険の登録住所も変更した。
次は税務署。VAT登録書の住所変更だ。
今度はノンタブリの役所とは別のところにある税務署に行った。元三菱自動車が使っていたビルで10km以上離れている。
新人社員が「住所変更に来ました」と言って書類を見せると、
「ああ、これはノンタブリ市役所でやってください。」
とのこと。あれれ、今までどうしてここに来なければいけなかったのだろう。何が何だか分からない。
お昼になったのと、切れそうになったので、一旦事務所に帰り、僕は新人に住所変更のための権限移譲書を書いて、昼から彼女一人でノンタブリの役所に行ってもらった。どの位できるかのトライアルでもある。
彼女はすぐに帰ってきた。
「申請に使う従来のVAT証明証書は、コピーじゃなくて本物が必要なんだそうです。」
その他、もろもろの準備をしていると夕方になってしまった。
「私、明日の朝、役所に行って住所変更を済ませてから会社に来ます。8時半から開いているので9時15分には来れると思います。いいでしょうか?」
彼女の家は役所から徒歩圏内なのだった。
翌朝、9時半に新人から電話が。
「1時間前から待ってますが、まだ担当の役人が出勤して来ないので、もう少し待ってみます。」
役人はどこも同じ。1時間の遅刻でも、誰も咎める人はいない。
結局、彼女は10時少し過ぎに用事を終えて帰ってきた。
「新しいVAT登録書は2週間後に郵送されるそうです。」
住所を変えるだけで丸一日。タクシー代も600B以上使わされた。
こちらから頼んで住所を変更してもらったのではない。行政が勝手に変えたのに、どうして全部こちらから変更手続きに行かなきゃならないのか。
タイに住んでいて、タイの行政は一番難解で腹が立つことが多い。
窓口の役人に英語が使える人はほとんどいない。タイ語も行政の専門用語が多くて、僕には10%も理解できない。マシュマロちゃんでさえ、半分くらいしかなんのことか分からないらしい。
なので、タイ人のお助けが絶対必要な分野だ。
行政に関しては、日本はかなり良くなった。最近では、市民をちゃんとお客さん相手してくれる。
これに対し、タイでは、長い待ち行列ができていようとも、お菓子を食べながら平気で雑談を続けている。
カオヤイで買ってきた美味しいきのこ。ヘットポー。
素朴に煮て食べたが、少し固かった。