新入社員歓迎会
今週月曜日から新入社員が来ていた。ピカピカ新卒の新入社員だ。
役目は僕のアシスタント兼Eコマースの管理。肩書はエグゼクティブ・アシスタント。
本当は経験豊富な20代後半が欲しかったが、結果として新入社員になってしまった。
就職サイトにあるレジメを片っ端から調べて、
- 美しい女性
- 英語が出来る
- 希望給料が22000B以下
- 家から近い
という基準に合致する100名以上の候補者にメールを送り、ついで電話でメールを確認するようにお願いし、回答のあった10名程度の人の中から選んだ。
採用したのは優先順位が4番目の人だった。1-3番目は英語ペラペラ、タンマサート大学、広告会社経験者といった素晴らしい経歴だったが、やっぱり来なかった。
採用した人は、とてもおとなしい人で、あまり喋らない。質問はないかと尋ねても、いつも「ありません」とだけ答える。面接で話している間も、笑顔ひとつ見せず、最低限のことしか話さなかった。とても愛嬌がなさそうで、僕に対する好感も持っていないようだった。しかし、英語はTOEIC 800点あり、英語での会話に問題はないのと(反対にタイ語での会話には問題あり。僕の発音が通じない!)、家が会社から近く通いやすい=辞めにくいだろうということで、採用したのだった。
1週間働いても、やはり笑顔がないし無駄口もない。パソコンの入力は早く、パチパチとキーボードを叩く音がオフィスに響くだけ。事務能力はありそうで、お役所関連の仕事もテキパキとこなしてくれた。お役人に対しても、同僚に対しても、あまり笑顔を見せなかったので、僕が嫌いというよりも彼女の性格なんだろうと思った。
帰国を後ろにずらした関係でお金がなかったのだが、アイスブレークには良いだろうと思って、金曜日に夕食会を開いてみた。
その日は、インターンシップで来ていた大学生が働く最後の日でもあった。彼女も、恐ろしくおとなしい人で、居るのかいないのか分からないほどだ。いつもイヤホンで音楽を聞きながら仕事をしていた。仕事中の時間の60%以上はfacebookなどで遊んでいた。社員としては甚だ失格な勤務態度だが、一ヶ月程度のインターンだったので、僕はあえて特に口うるさく指導するのは止めておいた。こっちが疲れるからだ。
注意したことといったら、朝夕は元気に声を出して挨拶することと(古臭いね)、電話を受けた時は、相手の名前と電話番号をしっかり控えること、の2つだけ。
その彼女の送別会も兼ねての夕食会だったわけだ。
社員数は僕を覗いて4名。これは僕の会社の瞬間最大風速で、来月からは二人になる。4人の社員との夕食会なんて、もしかするとこれが最後かもしれない。
食事会は当り障りのないMKにした。
普段少食のインターンだが、この時は大食いした。
ビールを勧めたのに、インターンと新入社員は乾杯の後、一口飲んだだけ。
「飲め飲め」と勧める自分が、嫌なおやじに見えた。
マシュマロちゃんは良い物を食べ過ぎて、完全肥満状態になってしまった。
営業本部長は、前日の飛び込み営業が不調だったので元気がない。
あまり会話の弾まない会だったが、この瞬間だけ奇跡的にふたりとも笑顔を見せてくれた。
この後、インターンのお母さんから次の長期休暇の時も働かせてくれと頼まれ、そばにいたマシュマロちゃんが儀礼的にOKしてしまったが、僕はもういらない。
そもそも、次の休暇まで会社が持たないかもしれない。
ということで、僕の中では記念すべき新入社員歓迎会だった。