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ブアレーオ

今日から時々だが、知っておくと役に立つ(かも知れない)タイ語講座をやってみようと思う。

勿論、僕がやることだから、チュラロンコーン大学のインテンシブタイ講座でやるような高尚なものではないことを断っておく。

タイ人が良く使う言葉に、

ブアレーオ เบื่อแล้ว 

というのがある。

直訳すれば、「もう飽きた」とか「退屈だ」の意味になる。

ところが、もうちょっとニュアンスが違う場合が多い。

さて、もう何年も前のこと、パタヤ近郊に住む一人の70代の日本人が、30歳年下のタイ人女性から突然別れ話を持ち掛けられた。

その男性、タイ語は少し話せるが、読み書きは無理。女性の方が、少し日本語が話せる。定年後、男が悠々とタイで暮らせたのは、その連れ合いのタイ女性が居たからと言って良い。実際問題、男一人では、役所関係の手続き、賃貸等の諸契約、車等高額商品の購入、イミグレ警察関係等がおぼつかない。タイで生きていく為には、絶対的にタイ人女性(訳者注:別に女性である必要はない)の助けが必要だから、別れ話は則、死活問題となる。女を取っ替えれば良いと言っても、交友範囲が広いとは言えず、また退職金と年金が主たる収入源である彼が、新しい連れ合いを探しても簡単に見つかる筈はない。

このことは彼に限ったことではない。例えば、僕の場合でも全く同じことが言える。今でも僕一人ではタイで生きて行けないと思う。

ただ、その男性、少々頭も堅く、日本の美意識、道徳観、義理人情から少しも抜け出していない。食事だって2回に1回は日本食じゃないと気が済まない。良くも悪くも日本の常識、生活習慣、道徳観でタイで生活していたので、タイ人の連れ合いにも小言をよく言っていたそうだ。

勿論、彼が連れ合いから一方的に助けて貰っていた訳ではなくて、一緒に暮らすことで寧ろ女性の生活を助けた。その男と暮らしたからこそ達成出来た生活レベルがある。そうして支え合って生きてきたはずだった。

したがって、そこには恩義と義理が自ずと芽生えて、お互い裏切るようなことはしないはずと男は思っていた(訳者注:タイには恩義や義理はありません)。

そこへ来て、突然の別れの宣告。

先に述べたように、居なくなって貰っては困るので、なんとか引き留めようとした。

「僕の悪いところや直して欲しいところがあったら言ってくれ。一生懸命直すように努力するから。いったい僕の何処が嫌になったんだ?」

女は答えた。

「ブアレーオ」

それを男は、「あんたのことはもう飽きた」と訳した。

「[飽きた]が別れの理由かよ。二人の今まではそんなものだったのか?悪いところを具体的に言ってくれれば、直す努力をするつもりだったのに、僕という人間に飽きたと言うのなら、直しようがないじゃないか。全く感謝も義理もない奴だ。」

しかし、これは訳が正しく無い。

正しくは、「あんたには、もううんざり!」である。「ほとほと嫌気が刺した」でも良い。

日頃の小さな不満が少しずつ積り積もって、我慢の限界に達した訳で、嫌いな点、不満を列挙しろと言われても、多過ぎてとても数時間では言い切れない。強いて言えば、もう全部。仮に列挙し出したら、忘れていた怒りや悲しみが吹き出してきて手に負えなくなる。

これはタイ特有の話ではない。

日本で流行っている所謂熟年離婚というやつの多くがこのパターンだ。

こうなる前に、喧嘩でも手紙でもいいから、もっと会話をしておくべきだった。そして、相手が何を言いたいのか、言葉の裏にある気持ちを察する努力が必要だったのだろう。

僕の場合は手遅れだったので偉そうなことは言えないけど。

女の方は、一旦我慢の限界に達すると、自分でも本当は何に怒っていたのか、本当は何が欲しかったのかが分からなくなってしまう。別れてホッとして、数年してから、やっと気がつくようだ。

女に去られた一人じゃ何もできない男は、可哀想に寿命が縮むことが統計的に分かっている。

僕はマシュマロちゃんから3日に一回はブアレーオと言われてるけど、大丈夫か?

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Author:ハムケン
サラリーマンはもう飽きた。気がつけば人生の残りも僅か。ここはひとつ、窮屈な日本を抜け出し、活力あるのにどこかゆる~いタイを舞台に、自分らしい第二の人生に旅立つことを決めてしまった50代親父。

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